THE BIG PICTURE
EUR/USD
- 水曜日、USDは大半のG10通貨に対して低下したが、新興市場通貨に対しては上昇した。FRBが月1の債券買い入れを終了した後も、金利は長期間にわたって低く抑えられるだろうとする、退任予定のバーナンキFRB議長による発言に加え、FRBが債券買い入れの縮小を始めるのは、来年まで、おそらく3月までは待つべきであるとするシカゴ連銀のエヴァンズ総裁とも相俟って、USDは圧力に晒された。
- しかし、ECB高官によるハト派的な発言にも拘わらず、EURがどうにか底堅く推移したことは注目に値する。ECBのコンスタンシオ副総裁は、ECBはすべての手段を検討する用意があると再び発言した。これは、欧州での産出量ギャップを埋めるのに４年間かかる可能性があると付言した、プラート専務理事によって補強されたテーマである。EURはこの発言後即座に弱含んだが、すぐに回復し、おそらく市場参加者が、FRBに対する賛成意見よりも、ECB委員会の戦略に対する反対意見の方が多いと考えていることを示唆した。ECBメンバーは皆、さらなる方策について議論しており、技術的には、それらを導入する用意があることに同意しているように見受けられるが、まだ行動するほどの公約ではないようにも見受けられる。明日のユーロ圏の購買担当者指数速報値は、こうした態度を裏付けるか、変化させる可能性がある。市場は、製造業とサービス業の両PMIの小幅な上昇を予想している。さらに改善すれば、ECBが「様子見」モードであるとの見方を補強する可能性があり、EUR/USDを押し上げる一方、予想外の悪化となれば、さらなるECBの行動が再び話題の中心となる可能性がある。
- 主な例外はUSD/JPYであり、日本が、過去最大の１０月の貿易赤字を報じた後に上昇した。石油を輸入する必要性が、日本の貿易収支に打撃を与えており、日銀が景気を後押しすべきだとの考えに拍車を掛け始めている。JPYはさらに低下すると予想される。
- 本日の焦点は、最近のイングランド銀行会議およびFOMC会議の議事録の発表であろう。唯一重要な指標は、米国から発表されるもので、それらに対する市場のコンセンサスは、概ねUSDにネガティブである。１０月の小売売上高は、前月比0.1％の上昇を示すと予想され、9月の同ペースでの縮小から一転するとみられる。自動車とガソリンを除く小売売上高は、9月の+0.4％から鈍化し、前月比0.2％の上昇を示すと予想される。10月の総合CPIは、9月の前月比0.2％と変わらずと予想され、これにより前年比は、1.2％から1.0％に鈍化するだろう。インフレ率の鈍化も、本日、USDに対してマイナスに働く可能性がある。最後にUSDに対する一層のマイナス材料は、10月の中古住宅販売が、9月の前月比-1.9％からさらに急速に悪化し前月比2.7％の下落を示すとみられる点である。本日、4人の主な発言者が予定されている：イングランド銀行チーフエコノミストのスペンサー・デイル氏とMPCメンバーのマーティン・ウィール氏であり、米国では、口数の多いニューヨーク連銀総裁のダドリー氏が再び発言する。また、セントルイス連銀総裁のブラード氏も発言する。ダドリー氏の前回の発言は複雑なものであった。彼の準備されたコメントは、比較的、景気に対する自信に満ちたものであったが、彼の質疑応答時の回答は、よりハト派的であったため、市場は、さらなる説明を求めて本日の彼の発言に注意深く耳を傾けるだろう。
EUR/USD
- EUR/USDは上昇し、200期間移動平均を上方にクロスした。同ペアは、現在、1.3600（R1）のレジスタンス・バリアーに向けて推移しており、この水準を明らかに突破すれば、次の障害である1.3700（R2）に向けたイクステンションの契機となる可能性がある。両モメンタム分析は、サポートラインを辿っており、同ペアの強気な動きを裏付けている。レートは水色のサポートラインを辿っていることから、短期的トレンドは依然として上昇トレンドであるが、これを下回れば、我々の分析を再検討する一つの理由となるだろう。
- サポート: 1.3500 (S1), 1.3389 (S2), 1.3321 (S3)
- レジスタンス: 1.3600 (R1), 1.3700 (R2), 1.3782 (R3)
- USD/JPYは上昇したが、前回の高値である100.43（R1）には届かなかった。価格は、現在、より低いピークを形成しつつあり、99.55（S1）のサポートを下方突破すれば、フェイラー・スウィング・フォーメイションの完成を示唆する可能性があり、99.08（S2）にある次のサポートを目指す可能性がある。とはいうものの、価格が紫色のチャネル内にあり、両移動平均を上回っているため、上昇トレンドは今のところ引き続き有効である。日足チャートでは、レートは、シメトリカル・トライアングル・フォーメイションの上限を上回って推移しており、同ペアが向こう数週間でさらに強含むことを示唆している。
- サポート: 99.55 (S1), 99.08 (S2), 97.95 (S3)
- レジスタンス: 100.43 (R1), 101.44 (R2), 102.40 (R3)
- GBP/USDは横ばい推移となり、1.6147（R1）のレジスタンス水準を引き続き下回った。ロング派が、レートをこの水準を上回るところに押し上げることができれば、彼らは、次のレジスタンスである1.6260（R2）を目指す可能性がある。しかし、RSIは、70水準でレジスタンスを見出して低下し、MACDは、依然として強気な領域にあるものの、シグナルラインを下方にクロスしようとしているように見受けられる。このため、上昇が再開する前にさらなる保ち合いが生じる可能性は無視できない。
- サポート: 1.6000 (S1), 1.5890 (S2), 1.5772 (S3)
- レジスタンス: 1.6147 (R1), 1.6260 (R2), 1.6375 (R3)
- 金も保ち合いの動きとなり、引き続き1269（S1）のサポート・バリアーを上回り、再び、右肩下がりのチャネルの上限に近付いた。1269（S1）水準を決定的に下方突破すれば、より大きな弱気な兆候となり、1251（S2）にある次の障害を目指すだろう。しかし、ドジ・キャンドルが、日足チャートに認められるため、前述のサポートか、チャネルの上限を突破するまでは、私は中立を保つ。
- サポート: 1269 (S1), 1251 (S2), 1221 (S3)
- レジスタンス: 1290 (R1), 1305 (R2), 1320 (R3)
- WTIは上昇し、93.14（S1）水準を上回る水準に回帰した。弱気筋が価格をこの水準を下回る水準にとどめるほど強くなかったため、上方への調整の波の継続が、95.36（R1）のレジスタンス・バリアーと青色のチャネルの上限を目指す可能性がある。青色の右肩下がりのチャネルと、50期間移動平均が引き続き200期間移動平均を下回っていることによって示されている通り、全体的なトレンドは依然として下落トレンドにある。
- サポート: 93.14 (S1), 91.22 (S2), 89.32 (S3)
- レジスタンス: 95.36 (R1), 98.81 (R2), 101.00 (R3)