概観
EUR/USD
- 年末は、通常、市場にとって静かな時間となるはずだが、今年は大晦日ぎりぎりまでいくつかの劇的な動きがあった。USD/SEKの今年のレンジは9.4%(6.2732から6.8654)だったが、まさに昨日のレンジは、今年全体のレンジの21%にあたる2.0%となった。NOKも同様で、今年のレンジは15.5%であったが、昨日のスプレッドは、一日で今年全体のレンジの10%にあたる1.5%となった。NZD/USDも昨日1.3%のレンジとなり、今年の12.9%というレンジから考えれば、かなり大幅な変動であると言えよう。スウェーデンのこの動きは、明らかにニュース(11月の小売売上高が予想よりも良かったこと)の影響によるものであったが、その他通貨の急激な動きは、何等かのより幅広い要因が関係していることを示唆している。確かに、昨日の仕掛住宅販売件数は、幾分期待外れのものであったが、米国の経済指標全体において、明るさが広範に認められるばかりではなく、その他通貨に比して意外なほど明るいということに変わりはなく、これは通常、無視できない。また、FFレート先物におけるインプライドレートは若干低下したものの(先週木曜日にピークを付け、2016年物で5-6bp低下した)、それでも、12月18日のFOMC会議以前の水準よりも17から27bp高い水準にある。しかし、USDは、それ以来かなりまちまちな動きとなっており、G10通貨中4通貨に対しては上昇し(対JPY、NZD、CAD、CHF)、4通貨に対しては下落した(対SEK、NOK、GBP、EUR)。(対AUDでは変わらず。)
- なぜ、量的緩和の縮小の発表、予想よりも良好な米国の経済指標、そしてFF予想に対する急激な上方修正にも拘わらず、USDは上昇することができなかったのか?これらはすべてファンダメンタル的思考には相反するものである。私の単なる推量に過ぎないが、これは、年末の歪みではないだろうか。この5年間というもの、USDは、対EUR、CHF、NZD、AUDで、12月には押しなべて弱含んでいる(ただし、対GBP、JPY、CADでは上昇)。ここに来て季節的な要因が影響しており、新年には逆取引が生じる可能性は十分にある。欧州の銀行が、来年の資産内容評価に向けた資金の本国送金を終えた後は、特に、そうした可能性が考えられる。
- スケジュールが再び閑散としているため、静かな大晦日が予想される。発表があるのは、米国だけである。10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数が、9月の前年比13.29%とさほど変わらない13.45%の上昇を示すと予想される。12月のシカゴ購買担当者指数は63.0から60.5へ低下すると予想され、12月のコンフェレンス・ボード消費者信頼感指数は、70.4から76.3への上昇が予想される。しかし、結局のところ、市場では、ポジション・スクエアリングが支配的となるだろう。数日間の低下の後だけに、火曜日はある程度のUSD買いが生じる可能性もある。
- 元旦に発表される唯一の指標は、中国の12月の製造業PMIである。数値については、51.4から51.2への小幅な低下が予想される。
- 明日1月1日のコメントはありません。よいお年をお迎えください!当社IronFXより。
EUR/USD
- 月曜日、EUR/USDは上昇したが、この上方への動きは、1.3810水準で止まった。これを上方突破すれば、再び1.3893(R2)のバリアーに向けた攻防となる可能性がある。しかし、RSIが70水準近くで反発した後、低下したため、本日中に下方調整の波が生じると予想される。現在の上昇トレンドは依然として進行中であり、1.3625(S2)の安値が維持される限り、短期的なバイアスは上方サイドにあると考えられる。
- サポート: 1.3710 (S1), 1.3625 (S2), 1.3540 (S3)
- レジスタンス: 1.3810 (R1), 1.3893 (R2), 1.4170 (R3)
- EUR/JPYは145.00(R1)の心理的水準でレジスタンスを見出した後、若干下落した。このハードルを明らかに突破すれば、147.00(R2)領域に向けた上昇の継続を示唆する可能性がある。RSIは、買われ過ぎの領域を脱しており、MACDは、依然として強気な領域にあるものの、トリガーラインを今にも下方にクロスしようとしているため、上昇トレンドが再び始まる前に下方調整が生じる可能性がある。50期間移動平均が依然として200期間移動平均を上回っていることから、価格動向に対する信頼できるサポートが提示されている。
- サポート: 142.80 (S1), 140.88 (S2), 139.67 (S3)
- レジスタンス: 145.00 (R1), 147.00 (R2), 150.00 (R3)
- GBP/USDは1.6465(S1)のサポートバリアーを上回る水準に留まった。RSIが買われ過ぎの領域を脱し、MACDがトリガーラインを下回ったため、価格はこのハードルを超え、次のサポートである1.6395(S2)を目指すだろう。とは言うものの、1.6320(S3)の安値が維持される限り、いかなる下落の動きも、新たな買いの好機と考えられる。レートは、両移動平均を上回って推移していることから、今のところ短期的な様相は引き続きポジティブである。
- サポート: 1.6465 (S1), 1.6395 (S2), 1.6320 (S3)
- レジスタンス: 1.6575 (R1), 1.6735 (R2), 1.6885 (R3)
- 金は、前回の下落の波の50%リトレースメント水準でレジスタンスを見出した後、下落した。下落の道を引き続き辿ることを示唆するためには、1187のサポート水準を下方突破する必要がある。MACDはトリガーラインとゼロラインのいずれをも下方にクロスした。金は依然として青色のトレンドラインと両移動平均を下回っていることから、下落トレンドは今のところ有効であると考えられる。トレンドラインと1224(R2)のレジスタンスを突破して初めて、我々の分析を見直す根拠が生じることになるだろう。
- サポート: 1187 (S1), 1180 (S2), 1155 (S3)
- レジスタンス: 1212 (R1), 1224 (R2), 1251 (R3)
- WTIは下落し、右肩下がりのチャネルの下限を突破した。強気筋は、価格を100.00を上回る水準で維持することができなかった。WTIは現在、50期間移動平均と98.90(S1)のサポートバリアーを若干上回る水準で推移している。この領域を下方突破すれば、92.00-100.60の上昇の38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準と一致する、次のサポートである97.25(S2)を目指す可能性がある。一方、98.90で反発すれば、この攻防は上方へと引き上げられ、短期的な上昇トレンドが再び始まる可能性がある。
- サポート: 98.90 (S1), 97.25 (S2), 95.35 (S3)
- レジスタンス: 100.60 (R1), 101.90 (R2), 103.15 (R3)