19日のグローバル株式市場は強弱まちまちの展開となった。主要なアジア&欧州株式は総じて底堅さを維持したものの、米国株式は原油安が嫌気されダウ平均とS&P500が反落。一方、米金利は小幅に上昇、外為市場ではドル高優勢の展開となった。
昨日のマーケット動向で筆者の興味を引いたのは以下2点。
ひとつは、米国マーケットが「株安・米金利上昇・ドル高」となったことだ。前日(18日)に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)声明がハト派寄りとマーケットで受け止められ、米国マーケットは「株高・米債高(金利低下)・ドル安」となった。しかし、翌日には早くにこの動きが真逆に転じた事実は、米国マーケットで米早期利上げ懸念の後退は一時的な現象で終わる可能性があることを暗示している。
FOMC後の最大の焦点は米株にあり、と筆者は昨日指摘したが、原油価格が再び下げ幅を拡大しているタイミングで、米早期利上げ観測を背景に米株での不安定化が継続すれば、グローバル株式市場の重石となろう。よって、外為市場ではリスク回避のドル高優勢地合いが継続する可能性を意識したい。特に米国との金融政策のコントラストが鮮明になっているユーロ、再び原油安問題に直面しつつある資源国通貨そしてファンダメンタルズの脆弱な新興国通貨(特に政情不安に直面しているブラジルレアル、政情不安と原油安に直面しているロシアルーブル、政府の利下げ圧力に直面しているトルコリラ、経常赤字の改善が喫緊の課題となっているインドネシアルピア)に対してドル高圧力が強まろう。一方、円相場ではクロス円を中心に円高圧力が強まることで、USD/JPYは121.50レベルでレジストされる状況が継続しよう。
もうひとつ興味を引いたのが、EUR/USD、USD/JPYそしてドルインデックス(DXY)におけるテクニカル動向だ。前者は、昨年12月16日高値1.2570を起点としたレジスタンスラインで見事に上値が抑えられている。一方、後者は1月16日安値115.85レベルを起点としたサポートラインをかろうじて維持し、昨日は大陽線が示現。さらに、DXYが21日移動平均線でサポートされている事実も、米早期利上げ観測の根強さを示唆している。
【テクニカル分析コメント】-USD/JPY、サポートラインの維持か121.50レベルの突破か
レジスタンス
121.70:オファー
121.50:レジスタンスポイント
121.10:10日MA(赤ライン)
121.03:3月19日高値
121.00:NYオプションカット
サポート
120.66:一目/転換線(青ライン)
120.00:NYオプションカット
120.67:リトレースメント38.20%戻し
119.60:サポートライン
119.50:ビッド
昨日は、サポートラインを維持しての大陽線示現。一目/転換線(青ライン)をあっさり上方ブレイクした事実も鑑みるに、USD/JPYが緩やかなドル高/円安トレンドを維持していることが確認された。
目先の上値焦点は、121.50での攻防だろう。ただ、このレベルを突破するには「米利上げ期待+株高維持」が必須条件となる。後者の点で不透明感が続いている状況を考えるならば、121.50レベルはドル売りポイントと捉えたい。
一方、下値は目先、NY終値ベースでの120円台維持が焦点となろう。119円台の攻防へシフトしても、昨日相場をサポートしたリトレースメント38.20%戻し及びサポートラインを維持できれば、ドル高/円安トレンドは来週以降も継続しよう。
尚、直近のオーダー状況だが、121.70レベルにはオファー、119.50レベルにはビッドがそれぞれ観測されている。また、121.00及び120.00にはそれぞれNYオプションカットが観測されている。