先週18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)から20日までの米国マーケットの動向をまとめると、18日が「株高・債券高(金利低下)」、19日が「株安・債券安(金利上昇)」、そして20日は18日同様「株高・債券高(金利低下)」の展開となった。外為市場では米金利の動向に連動し、18日ドル安、19日ドル高、20日ドル安の展開に。19日が「株安・債券安(金利上昇)」となったこと、外為市場でドル売りが調整の範囲内にとどまっている事実は、米6月利上げ観測が完全に後退していないこと、それ故、「Data Dependency-指標データ」を掲げるイエレンFRBは、今後の労働・インフレ・個人消費の各指標データが好調だった場合、6月利上げに踏み切ることを米国マーケット / 外為市場では意識されているということだろう。
また、米6月利上げ観測が完全に後退していないことは、ドル相場のテクニカルも示唆している。例えば、ドルインデックス(DXY)は2月以降21日MAでサポートされる状況が継続し、USD/JPYは1月安値を起点としたサポートラインを維持している。そしてEUR/USDは昨年12月高値を起点としたレジスタンスラインで見事に上値が抑えられている。ここまでのドル高スピードを考えるならば、米6月利上げ観測が完全に後退した場合は「株高オンリーのリスク選好」を背景に、これらテクニカルを一気にブレイクしてもおかしくないが(特に短期間で急落したEUR/USDはレジスタンスラインを一気にブレイクしてもおかしくないが)、現状、そのような展開となっていない事実が、くすぶり続けている米6月利上げ観測とそれに伴うドル先高観を示唆している。
よって、米金融政策への思惑がどちらに振れるのか、この点を見極めることが引き続き外為市場のトレンドを見極める上で重要なテーマとろう。今週は2月の米消費者物価指数(CPI)や10-12月期実質国内総生産(GDP)確定値のほか、FEDスピーカーの講演が予定されている。これらの内容が米金利とドル相場のトレンドを決定しよう。米6月利上げ観測を後退させる内容が続いた場合、「株高オンリーのリスク選好」=「株高・商品高・米金利低下」の状況となり、外為市場ではドル安とクロス円での円安が進行し、USD/JPYは株式とクロス円の動向次第、という読みやすい展開となろう。
問題は、6月利上げ観測が再台頭した場合だろう。「株高+米金利上昇」か「株安+米金利上昇」となるかで、外為市場も様相を異にしよう。前者ならば、ファンダメンタルズ改善を意識したドル高を背景にユーロ、資源国通貨、新興国通貨は軟調な地合いとなろう。また、円相場ではドル円が再び円安ドライバーとなろう。
一方、後者の場合は、リスク回避の高まりを背景に、前者以上にドルは資源国通貨と新興国通貨で上昇幅を拡大させよう。一方、円相場では円高優勢の展開となろう。特にクロス円(ECBの緩和強化により売り圧力が強まっているEUR/JPY、軟調な株式と商品市場に圧迫されやすいAUD/JPY、CAD/JPY、NZD/JPY)で下落幅が拡大することが想定される。
【テクニカル分析コメント】- USD/JPY、サポートラインの維持が焦点
レジスタンス
121.70-80:オファー
121.50:レジスタンスポイント
121.25:オファー
121.00:レジスタンスポイント
120.87:10日MA(赤ライン)
120.29:21日MA(緑ライン)
サポート
119.65:サポートライン
119.50:ビッド
119.30:3月18日安値
119.00:厚いビッド
118.63:一目/雲の上限
118.42:一目/雲の下限
121円ミドル突破に失敗し続け下落圧力が強まる中、RSIは売り買い分水嶺の50.00を下方ブレイク。 1月安値を起点としたサポートラインの維持が焦点として浮上してきた。このラインを維持し続けるならば、緩やかなドル高/円安トレンドを維持したまま、121円ミドルをトライし続けるだろう。119.50レベルに観測されているビッドも鑑みるに、目先の買いポイントと想定したい。
ただ、下方ブレイクした場合は要注意。グローバル市場ではリスク回避圧力が相当強まっている可能性があるからだ。この場合、世界的なドル高圧力を円高圧力が凌駕しよう。ストップレベルを3月18日安値119.30と想定し、このレベルをも完全に下方ブレイクした場合は、118円台への再下落を想定し順張りのショートを構築したいところ。