筆者は昨日のレポートで、冴えない米指標データの内容は早期利上げ懸念を後退させ、米国マーケットは「株高+金利低下」になると指摘。結果、外為市場では「株高オンリーのリスク選好」を背景にドルロング調整地合いになると予想した。冴えない米小売の指標データを背景にドル売り圧力が強まりUSD/JPYは上値の重い展開となった一方、EUR/USDは反発し、且つ豪ドルやクロス円が堅調に推移したことも鑑みるに、筆者の予想はある程度あたっていた。
一方、予想が外れた部分は冴えない米小売を受けて尚、米金利の低下が限定的であったこと。それ故ドルロング解消も一時的な現象に終わったことだろう。これらの事実は、現在のマーケットが米早期利上げに対していかに神経を尖らせているかを示唆している。米金融政策の方向性を見極める上で最も重要な米連邦公開市場委員会(FOMC)が来週に控えていることを考えるならば、それまでは米早期利上げ観測を軸に現在のドル高優勢地合いが大きく崩れることは想定し難い。
ドル高地合いの継続を軸と考えた場合、円相場のトレンドはUSD/JPY次第となろう。そのUSD/JPYは引き続き株式にらみの展開となろう。昨日の米株反発を受け、本日の日経平均は終値ベースで1万9千円を維持する可能性がある。よって、東京時間の円相場は堅調に推移することが想定される。
最大の焦点は、米指標データの内容と米株の反応だろう。昨日のレポートでも指摘したように、USD/JPYが122円以上をターゲットに上値トライとなるには、「米株高+金利上昇」の同時発生という条件をクリアする必要がある。そのためには好調な米指標データと米株がそれに素直に反応する必要があろう。
本日注目の米指標データは、日本時間21時30分の生産者物価指数(2月、PPI)と23時のミシガン大学消費者態度指数・速報値(3月)となろう。総じて好調な指標データに米株が素直に反応すれば、「米株高+金利上昇」を背景にUSD/JPYは122円台へ再上昇することが想定される。
逆に冴えない指標データによる米高となれば早期利上げ観測の後退(=米金利の低下)につながることから、USD/JPYは昨日同様121.00を挟んで上値の重い状況が継続しよう。一方、クロス円は株高を背景に堅調に推移しよう。
【テクニカル分析コメント】- ドル高優勢地合い継続を想定
レジスタンスポイント
122.50:厚いオファー、オプションバリア、上にストップ
122.20:オファー
122.03:3月10日高値
122.00:オファー
サポートポイント
120.71:一目/転換線(緑ライン)
120.66:3月12日安値
120.57:リトレースメント23.60%
120.20:下にストップ
120.00:ビッド、下にストップ
119.80:21日MA(赤ライン)
目先は、リトレースメント23.60% の120.57を下方ブレイクするか、122円台へ再上昇するかが焦点となろう。
昨日は、一目/転換線でサポートされ終値ベースで121円台を維持。しかし、121円ミドルレベルをローソク足の実体ベースで突破出来ない状況を鑑みるに、一度下値トライとなる可能性が高い。ただ、120.57(23.60%戻し)を下方ブレイクしても、21日MA及び1月16日安値115.85を起点としたサポートラインを維持する限りドル高優勢地合いは継続しよう。
尚、直近のオーダー状況は上記の通り。