前日の米国市場は、米中貿易協議に関するトランプ大統領のコメントを好感し、主要株価指数は揃って上昇した。
本日前場の日経平均は、戻り売りに押されながらもこれを好感して上昇し、午前11時6分時点で2万1058円となっている。午前11時に発表された4月の中国鉱工業生産が3月の8.5%から5.4%へと大きく落ち込み、上値を抑えて推移している。米中貿易協議がエスカレートする前の4月時点のデータだけに、マーケットもここまでの低下は織り込んでいなかったはずだ。固定資産投資や失業率も悪化しており、中国経済への懸念を高めさせる結果となっている。
ドル/円は109.61円、ドルインデックスは97.34と前日からわずかに上昇して推移している。米国10年債利回りは2.412%とわずかに低下し、6カ月債とはまだ利回り曲線の逆転が続いている。
後場の日経平均は中国の鉱工業生産の結果が上値を抑えることになるだろう。騰落率が74.92と売られすぎサインが点灯し始めており、米国市場の反発を受けて本日はそれなりの上昇が期待されるはずだったが、これにより上値の伸びは怪しくなった。前日までの大幅安による値ごろ感と中国経済への懸念との綱引きとなりそうだ。この悪材料をこなして大きく上昇できるようだと、今後の日経平均の戻し値幅に期待が持てるが、失速のまま終わるとさらなる下落懸念が高まってくるだろう。中国経済の弱体化は輸出企業へのダメージが大きく、米国以上に株価に影響するだけに心配される。