■株式相場見通し
予想レンジ:上限22000-下限21300円
来週はは引き続き、米国と為替にらみながらも需給の好転から底堅さを増す展開が予想される。
11週連続で売り越す海外投資家も3月第2週に続き第3週も、投資主体別売買動向による売り越し幅は減少しており、減少していた裁定買い残も23日をボトムに増加傾向に転じている。
過去10年と同様に4月に海外投資家が買いに転じてくるようだと、上値を試す場面もありそうだ。
一方、国内機関投資家も決算対策で3月末にかけて株式を売却する反動で、4月は買いに転じる傾向となる。
こうした需給の好転とともに、テクニカル面でも明るい兆しが見えている。
3月30日の日経平均は終値で200日移動平均線(29日の2,1322.29円)を3営業日ぶりに上回って引けている。
5日線(20,978円)、10日線(21,247円)も回復。
パラボリックやMACDなどの短期モメンタムには買いシグナルが点灯する一方、21,500円台前半にある25日移動平均線に上値を抑えられる形となっているが、同線を上抜けてくれば、75日移動平均線の22,400円あたりが意識されてくる。
名実ともに実質新年度入りとなる4月2日は、企業の現状と先行きのマインド指数である四半期大企業製造業業況判断DI加えて、企業想定為替レートと業績見通しを含む日銀短観が2日の朝方寄付き前に発表される。
調査回答期間が2月末から3月末と国内政治と海外リスクが紛糾していた時期の調査だけに、その内容が注目される。
最もポイントとなるのは為想定為替レートだがより為替の前提条件が厳しく設定されて、マインド指標だけに、ポジティブな結果が出た場合、日本株買いのきっかけとなる可能性も秘めている。
4月下旬から本格化する3月本決算発表を控えて、海外投資家に買い立ち向かう形で、個人投資家を含む国内勢が日本株を買い越す構図が、基本的に継続することになろう。
信用買い残は10年半ぶりの高水準である3.67兆円で、日銀の買いが入るETF買いは、異次元緩和の開始以来で最大規模に膨らんでいる。
IPO人気はやや過熱気味ながら、このIPOを手掛かりに物色テーマ的には人工知能(AI)関連の人気が頭一つ抜きん出ている。
また、ゴールデンウイークを控えて例年台頭する、中小型株優位の物色展開が強まる可能性も大きい。
このほかの海外スケジュールでは、3日から6日にかけてASEAN財務相・中央銀行総裁会合、4日にニューヨークで国連経済社会理事会パートナーシップ・フォーラム、米国では5日に「2月貿易統計」発表、6日に「3月雇用統計」発表がある。
中国では5日から7日にかけて清明節休暇となる。
なかでも6日発表の「3月米雇用統計が注目される。
この米雇用統計では労働環境の改善を示す結果になるとの予想が多い。
これにより円相場は週後半にかけて円安方向に振れ、日経平均も円安に歩調を合わせて22,000円台まで水準を切り上げるとのベストシナリオを描く可能性がある。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。
米中貿易摩擦の回避や米朝関係の改善などを意識して、リスク回避のドル売り・円買いはやや後退している。
米国と北朝鮮の首脳会談は5月中に行われる見通しとなり、米朝間の緊張緩和も見込まれている。
トランプ米政権の外交政策に対する批判的な見方は後退し、政治不安も緩和されつつあることから、一部の短期筋はリスク選好的なドル買い・円売りを実行している。
ただ、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドル買い・円売りの勢いはやや弱まるとの見方が多い。
インフレ加速の可能性は低下しており、米連邦準備理事会(FRB)は今年4回の利上げを行なうとの思惑は後退した。
一時3%に迫った米10年債利回り(長期金利)は2.8%を下回った。
追加利上げが実施された後も、2年債と10年債の利回り格差の縮小は続いており、年内数回の利上げによって2年-10年の利回り格差は消滅するとの見方も浮上している。
2年債と10年債の利回り格差消滅は、米国経済が景気後退局面を迎える可能性があることや将来的な利下げの可能性を示唆するものであり、ドル売り材料になりやすい。
■来週の注目スケジュール
4月2日(月):日銀短観、国内新車販売台数、米ISM製造業景気指数など
4月3日(火):ユーロ圏製造業PMI改定値、英製造業PMI、米自動車販売台数など
4月4日(水):人工知能EXPO、豪小売売上高、中財新総合PMI、米ADP全米雇用報告など
4月5日(木):英総合PMI、ユーロ圏小売売上高、米貿易収支など
4月6日(金):景気動向指数、米非農業部門雇用者数、米失業率など