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エネクス Research Memo(7):収益基盤と組織基盤の再構築に取り組む

発行済 2017-09-26 15:17
更新済 2017-09-26 16:00
エネクス Research Memo(7):収益基盤と組織基盤の再構築に取り組む
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■中期経営計画と進捗状況

1. 新中期経営計画『Moving 2018』の概要
(1) 概要
伊藤忠エネクス (T:8133)は、2018年3月期と2019年3月期の新2ヶ年中期経営計画『Moving 2018“つなぐ 未来”』を策定、公表した。
この新中期経営計画のコンセプトは「次のステージを見据えて経営基盤を再度足固めする2年間」というもので、そのキーワードはサブタイトルにもある“つなぐ 未来”という言葉だ。


同社は2017年3月期までの2年間、2ヶ年中期経営計画『Moving 2016 「動く!」~明日にタネを蒔け~』に取り組んできた。
その成果の1つとして、2017年3月期の当社株主に帰属する当期純利益が100億円の大台に乗せた。
1つの大きな区切りを超えた同社は、次のステージとして当社株主に帰属する当期純利益200億円を目標として設定したが、その実現は一足飛びにはいかない。
『Moving 2018』で“つなぐ 未来”としているのは、この2年間を200億円のステージに着実につながるような足場固めの時期にするという強い意思を表している。


新中期経営計画の定量計画としては、最終年度の2019年3月期において、営業利益185億円、当社株主に帰属する当期純利益108億円、ROE9.1%等を掲げている。
2017年3月期実績と比べると今中期経営計画期間における成長が鈍い印象を受けるが、今中期経営計画は足場固めに徹し、当社株主に帰属する当期純利益の水準を100億円台に定着させることを何よりも重視しているというメッセージだというのが弊社の理解だ。


新中期経営計画の定量計画で利益以上に注目すべきは、投資計画であろう。
2年間累計で450億円という目標を打ち出した。
単年度当たりでは、2017年3月期の水準から約70%の増加となる。
次のステージへの布石を打つ2年間という位置付けであることを踏まえれば、当然とも言える。
しかし、こうした積極的な投資計画の裏側には、営業キャッシュ・フローが2年間累計で460億円に達する見込みで、財務体質の維持・向上との両立を図りつつ積極投資が可能な状況にあるというのも重要な視点だ。


(2) 新中期経営計画の基本方針:「収益基盤の再構築」と「組織基盤の再整備」
新中期経営計画期間の基本方針、すなわち取り組むべき基本的事項として同社は、「収益基盤の再構築」と「組織基盤の再整備」の2つを掲げている。


収益基盤の再構築は文字どおり将来の収益成長へとつなげるための施策だ。
今中期経営計画で同社が打ち出したのは“資産の最適化”だ。
これは既存分野(石油・ガス)、新規分野(電力)双方において収益性・成長性を追求して事業資産の入れ替えを進めることを意図している。
同社はこうした資産構成の入れ替えにより、電力など新規事業分野の資産構成比が50%を超え、固定資産営業利益率が6.2%から7.0%に改善することを目指している。
また、資産の最適化は事業セグメント内部でも進められる方向だ。
電力事業における風力発電設備の一部売却はその一例だ。
売却した発電設備に代わる新たな電源としてバイオマス発電の検討などが行われている。


組織基盤の再整備は、石油、ガス、電力などの商材別の縦割りの組織という実体を変え、健全闊達かつ強固な事業グループ体の実現を目指す取り組みだ。
コミュニケーション手段、リスク管理、コンプライアンス体制などの充実を図るためにもグループ経営の組織体制を再整備する必要があるとの判断に基づいている。
また、このテーマには個々の人材の強化も強化項目として含まれている。
“自律的に課題を見つけ、提案、解決する人材を育成する”としている。
社員に対してこれまで以上に高いクオリティを求めている。
同時にまた、働き方改革も進めている。
「Enex Early Bird」のスローガンのもと、短時間に仕事パフォーマンスを発揮する働き方の実現を後押ししている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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