■業績動向
(1) 2016年3月期業績
○連結損益計算書
日本マニュファクチャリングサービス {{|0:}}の2016年3月期の業績は、売上高は前期比26.3%増の62,179百万円、営業利益が同3.9倍の1,940百万円と、ともに過去最高を記録した。
事業セグメント別の動向は、HS事業の売上高が前期比ほぼ横ばいの13,215百万円であったが、営業利益は前期の17百万円の損失から142百万円へと黒字転換した。
国内における定着率の向上、採用広告の効果的な使用により、稼働人数の絶対数を確保した上、顧客との価格交渉により採算性を改善した。
請負現場では採算性改善運動を推進した。
EMS事業は、売上高が31,426百万円と前期比2.9%減少したが、営業利益は315百万円と同20.2%増加した。
国内拠点の統合、減損処理など構造改革を推進し、次期以降の事業展開への環境整備を行った。
海外は、中国が最低賃金上昇により収益構造を悪化させた。
それをマレーシアがカバーした。
PS事業は、前期が第4四半期のみの3ヶ月だけだったが、今期は通期にわたり業績に寄与した。
営業利益は1,471百万円となり、大幅増益の立役者となった。
一部製造プロセスをグループ内EMSへ内製化し、部材の自己調達力も収益に大きく貢献した。
主要顧客である情報機器(複合機)の出荷好調により、売上、利益ともに上振れた。
経常利益は前期比84.2%増の1,350百万円となった。
営業外収支の中の為替差損益が、前期の差益(270百万円)から今期は差損(449百万円)へと振れたことが経常利益の伸び率を抑えた。
当期純利益は、TKRグループの構造改革の一環として固定資産の減損処理(241百万円)を特別損失に計上したことと、法人税などが増えたため、前期比34.4%減の375百万円だった。
○連結貸借対照表 2016年3月期末の資産合計は、前期比1,468百万円の26,234百万円となった。
現預金及び売掛金が減少したため、流動資産が1,540百万円落ち込んだ。
流動負債も買掛金や短期借入金などが減少したことから、1,354百万円少なくなった。
2011年のTKRの買収、2013年の日立メディアエレクトロニクスと2014年のパナソニックからの一部事業の譲受にかかわるM&A資金並びに事業規模拡大に伴なう運転資金や設備投資資金を借入金で賄った。
また、2014年8月に筆頭株主であったMBOファンドから自己株式を譲り受ける資金も加わり、2015年3月期末の長短借入金は12,753百万円に増加した。
2016年3月期は返済が進み、借入金の残高は前期比1,290百万円減の11,463百万円となった。
短期の支払能力を見る流動比率は、流動資産及び流動負債がともに減少したことから、前期比ほぼ横ばいの116.8%であった。
長期の能力を測る自己資本比率は、前期比2.4ポイントアップの19.5%と改善したが、依然20%未満の低水準にある。
収益性の指標であるROE(自己資本利益率)は、前期の12.2%から7.6%へ低下した。
売上高当期純利益率が特別損失などで前期比半減の0.6%に落ちこんだことが響いた。
○キャッシュ・フローの状況 2016年3月期の現金及び現金同等物の期末残高は2,748百万円と前期末比1,110百万円減少した。
営業活動によるキャッシュ・フローは、PSTが加わった前期に売上債権や棚卸資産が増えマイナスであった。
今期は、利益と減価償却などにより942百万円のプラスになった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期がPS事業の開始により長・短期借入金を増加したためプラスとなったが、当期は借入金の返済などで838百万円のマイナスとなった。
(2) 2017年3月期予想−減収、営業減益も過去2番目の高水準 2017年3月期は、売上高が58,000百万円(前期比6.7%減)、営業利益が1,000百万円(同48.5%減)、経常利益が900百万円(同33.4%減)、当期純利益が600百万円(同59.8%増)を予想している。
HS事業は、売上高が前期比20.9%増の15,975百万円、営業利益が同2.1倍の300百万円を予想している。
国内の採用状況が厳しいことから、外国人実習生の受け入れを実現するため、自社の請負現場における受け入れ体制を整備する。
海外では、前述した中国での製造請負(承欖)研究プロジェクトへ参画するなど、同社の優位性を生かした展開を促進する。
EMS事業は、売上高が前期比8.6%減の28,725百万円、営業利益が同14.3%増の360百万円を見込む。
また、一部の契約において部品の有償支給が無償支給に変わることで表面上の売上高が落ち込む。
また、前期に取り掛かった事業構造改革が継続される。
国内は、前期中に完了したが、今期は海外の体制を見直す方針でいる。
PS事業は、売上高が前期比24.2%減の13,300百万円、営業利益が同76.9%減の340百万円を予想している。
顧客の個々の製品に適した電源を開発するため、受注から売上計上まで1年程度かかる。
また、事業承継の過渡期における受注の落ち込みが、今期の売上高に影響する。
さらに、競争激化と相まって、EMS事業から固定費を移動させることも、利益の減少幅を大きくする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
事業セグメント別の動向は、HS事業の売上高が前期比ほぼ横ばいの13,215百万円であったが、営業利益は前期の17百万円の損失から142百万円へと黒字転換した。
国内における定着率の向上、採用広告の効果的な使用により、稼働人数の絶対数を確保した上、顧客との価格交渉により採算性を改善した。
請負現場では採算性改善運動を推進した。
EMS事業は、売上高が31,426百万円と前期比2.9%減少したが、営業利益は315百万円と同20.2%増加した。
国内拠点の統合、減損処理など構造改革を推進し、次期以降の事業展開への環境整備を行った。
海外は、中国が最低賃金上昇により収益構造を悪化させた。
それをマレーシアがカバーした。
PS事業は、前期が第4四半期のみの3ヶ月だけだったが、今期は通期にわたり業績に寄与した。
営業利益は1,471百万円となり、大幅増益の立役者となった。
一部製造プロセスをグループ内EMSへ内製化し、部材の自己調達力も収益に大きく貢献した。
主要顧客である情報機器(複合機)の出荷好調により、売上、利益ともに上振れた。
経常利益は前期比84.2%増の1,350百万円となった。
営業外収支の中の為替差損益が、前期の差益(270百万円)から今期は差損(449百万円)へと振れたことが経常利益の伸び率を抑えた。
当期純利益は、TKRグループの構造改革の一環として固定資産の減損処理(241百万円)を特別損失に計上したことと、法人税などが増えたため、前期比34.4%減の375百万円だった。
○連結貸借対照表 2016年3月期末の資産合計は、前期比1,468百万円の26,234百万円となった。
現預金及び売掛金が減少したため、流動資産が1,540百万円落ち込んだ。
流動負債も買掛金や短期借入金などが減少したことから、1,354百万円少なくなった。
2011年のTKRの買収、2013年の日立メディアエレクトロニクスと2014年のパナソニックからの一部事業の譲受にかかわるM&A資金並びに事業規模拡大に伴なう運転資金や設備投資資金を借入金で賄った。
また、2014年8月に筆頭株主であったMBOファンドから自己株式を譲り受ける資金も加わり、2015年3月期末の長短借入金は12,753百万円に増加した。
2016年3月期は返済が進み、借入金の残高は前期比1,290百万円減の11,463百万円となった。
短期の支払能力を見る流動比率は、流動資産及び流動負債がともに減少したことから、前期比ほぼ横ばいの116.8%であった。
長期の能力を測る自己資本比率は、前期比2.4ポイントアップの19.5%と改善したが、依然20%未満の低水準にある。
収益性の指標であるROE(自己資本利益率)は、前期の12.2%から7.6%へ低下した。
売上高当期純利益率が特別損失などで前期比半減の0.6%に落ちこんだことが響いた。
○キャッシュ・フローの状況 2016年3月期の現金及び現金同等物の期末残高は2,748百万円と前期末比1,110百万円減少した。
営業活動によるキャッシュ・フローは、PSTが加わった前期に売上債権や棚卸資産が増えマイナスであった。
今期は、利益と減価償却などにより942百万円のプラスになった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期がPS事業の開始により長・短期借入金を増加したためプラスとなったが、当期は借入金の返済などで838百万円のマイナスとなった。
(2) 2017年3月期予想−減収、営業減益も過去2番目の高水準 2017年3月期は、売上高が58,000百万円(前期比6.7%減)、営業利益が1,000百万円(同48.5%減)、経常利益が900百万円(同33.4%減)、当期純利益が600百万円(同59.8%増)を予想している。
HS事業は、売上高が前期比20.9%増の15,975百万円、営業利益が同2.1倍の300百万円を予想している。
国内の採用状況が厳しいことから、外国人実習生の受け入れを実現するため、自社の請負現場における受け入れ体制を整備する。
海外では、前述した中国での製造請負(承欖)研究プロジェクトへ参画するなど、同社の優位性を生かした展開を促進する。
EMS事業は、売上高が前期比8.6%減の28,725百万円、営業利益が同14.3%増の360百万円を見込む。
また、一部の契約において部品の有償支給が無償支給に変わることで表面上の売上高が落ち込む。
また、前期に取り掛かった事業構造改革が継続される。
国内は、前期中に完了したが、今期は海外の体制を見直す方針でいる。
PS事業は、売上高が前期比24.2%減の13,300百万円、営業利益が同76.9%減の340百万円を予想している。
顧客の個々の製品に適した電源を開発するため、受注から売上計上まで1年程度かかる。
また、事業承継の過渡期における受注の落ち込みが、今期の売上高に影響する。
さらに、競争激化と相まって、EMS事業から固定費を移動させることも、利益の減少幅を大きくする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)