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ドーン Research Memo(1):クラウド型サービスで快進撃。2018年5月期も増収増益見通し

発行済 2017-09-15 15:31
更新済 2017-09-15 16:00
ドーン Research Memo(1):クラウド型サービスで快進撃。2018年5月期も増収増益見通し
2303
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■要約

ドーン (T:2303)は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。
中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。
GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年はクラウド型サービスで業績を伸ばしている。


1. 注目事業・サービス
同社の近年の成長の原動力となっているのが、クラウド型サービス「NET119緊急通報システム」である。
聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。
急病やケガ、地震災害や火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。
操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、神戸市や川口市などを皮切りに導入が進み、2015年12 月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。
2017年5月現在、当システムが導入されている消防の管轄人口のカバー率は29%(稼働ベース)。
当システムはクラウド型サービスであり、顧客である自治体にとっては自前で運営する場合と比較してコストが安く運営の手間もかからないというメリットがある。


2. 2017年5月期実績
2017年5月期通期の売上高は788百万円(前期比4.6%増)、営業利益125百万円(同16.1%増)、経常利益131百万円(同13.7%増)、当期純利益89百万円(同11.2%減)となった。
売上高に関しては、開発人材の制約から受託開発案件の売上が頭打ちとなったものの、防災関連のクラウド利用料収入が順調に増加し、全体として微増となった。
利益に関しては、外注費の減少や、粗利率の高いクラウド事業の構成が上がったことが寄与し営業・経常増益となった。


3. 2018年5月期の業績予想
2018年5月期通期の業績予想は、売上高で前期比5.3%増の830百万円、営業利益で同20.0%増の150百万円、経常利益で同17.6%増の154百万円、当期純利益で同16.9%増の104百万円と、増収増益の基調を維持する見通しだ。
最大のセグメントである受託開発は人材不足から現有体制での現状維持を見込む。
好調なクラウド事業は、全国の自治体のシステム更改に合わせた導入となるため、2018年5月期も例年通り50百万円~60百万円前後の着実な売上増が期待できそうだ。


4. 次代を担う事業・サービス
同社は2016年10月に京都大学と「AED※活用促進による院外心停止救命システム」に関する共同研究を開始した。
この研究は、119番通報を受けた消防本部があらかじめ登録された救命ボランティアのスマートフォンアプリに駆付け要請を通知し、近隣にいるボランティアがAEDを届けるという仕組みを検証するものだ。
「NET119緊急通報システム」などで培ってきた技術・ノウハウを活用することで、救命のスピードアップが期待され、社会的にも意義は大きい。
既に愛知県尾張旭市において実証実験が始まっており、今後は検証結果をまとめ、大都市での実証実験につなげたい考えだ。


※AED:自動体外式除細動器


■Key Points
・快進撃するクラウド型サービス「NET119緊急通報システム」で人口カバー率現状29%、3年後には50%を目指す
・2017年5月期は連続増収増益。
外注費減少・クラウド事業へのシフトが収益性向上の要因
・東北大学等とドローンを活用した山岳捜索支援システムの共同研究を開始

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

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