[ジュネーブ 5日 ロイター] - 国連貿易開発会議(UNCTAD)が5日公表した調査報告書から、米中の関税合戦を背景に米国が今年上期に輸入した中国製品が350億ドル減少し、両国の経済に影響が及んでいる構図が浮き彫りになった。
報告書によると、今年1─6月に米国が発動した制裁関税の対象となった中国製品の輸入は950億ドルと、前年同期の1300億ドルから減少。報告書は「米国が発動した対中関税が両国に経済的影響を及ぼしている兆候が示された」とし、米国は消費者向け価格の上昇、中国は輸出の大幅減という悪影響がそれぞれ生じたと指摘した。
執筆者のアレサンドロ・ニシタ氏は関税に絡むコストについて、中国企業が輸出価格の下落を通じて一部を吸収したものの、米消費者がなお約17%分のコストを「肩代わり」する形になっていると指摘した。
米国の対中輸入減の最大の恩恵を受けたのは台湾で、オフィス関連・通信機器を中心に今年上期の対米輸出は42億ドル拡大したことも明らかになった。
メキシコの対米輸出も35億ドル、欧州連合(EU)も27億ドルそれぞれ拡大。メキシコからは農産物や輸送機器など、EUからは機械関連の輸出が増加した。
ただ、減少分がすべて補われたわけではなく、数十億ドル分の輸入が失われたという。
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