[ワシントン 19日 ロイター] - ペロシ米下院議長は19日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を支持するには、労働者に関する規定の実効性確保が条件になるとの立場を示した。
ペロシ氏は前週、USMCAについて、トランプ政権との協議で近く合意する可能性があると述べ、年内の下院通過を目指すと表明した。[nL4N27U61X]
しかし、USMCAに批判的な米労働総同盟産別会議(AFL─CIO)のトラムカ会長との会合後、「通商代表部(USTR)代表が米国の労働者のためにUSMCAの実効性を確保すれば、合意できる」との声明を出し、前週の発言からトーンを変えた。声明は同会合に同席した下院歳入委員会のニール委員長(民主党)と共同で出した。
トランプ大統領や政権高官は同日、ラジオ番組のインタビューやソーシャルメディアへの投稿を通じ、USMCA批准に向けペロシ氏や議会への圧力を強めた。
民主党は労働者や環境保護に関する規定の実効性を高めるよう求めているが、政権側はこれを政治的な動きとして拒否している。
トランプ大統領はこの日、ペロシ氏はUSMCA批准法案を「机の上から離す」こともできないとし、「弾劾の票数を確保していないからUSMCAを利用している」だけだと批判した。
ある関係筋によると、ペロシ氏は新たに当選した民主党議員約40人との会合にトラムカ会長を招待した。トラムカ氏は、労組側はメキシコ政府が労働改革を実施・継続する能力があるのかをなお疑問視していると述べ、現在が協議の「最重要」局面だとして結束の必要性を訴えた。
会長は18日に組合員に対し、NAFTAは「労働者にとって災難」だったと強調した上で、ホワイトハウスとの協議に一定の進展はあったものの、USMCAの議会可決への機は熟していないと述べていた。
AFL─CIOの広報担当から入手した発言要旨によると、トラムカ氏は協定批准に向け主要な問題で主張を曲げるよう圧力があると語った上で、譲歩を否定。「新協定が真に実効性があると政権が書面で示せるまで、まだやることはある」と述べた。
ロス商務長官は19日、新協定の環境や労働者保護の規定について、これまでの貿易協定よりはるかに厳しいものを含んでいるとし、「ペロシ議長が議会に上程すれば、圧倒的多数で承認されると信じている」と述べた。