[シンガポール 6日 ロイター] - アジアの原油先物市場で、北海ブレントが1バレル=70ドル台に上昇した。米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことを受け、中東情勢の緊張が高まり原油供給が滞ることへの懸念が広がっている。
ブレント先物 (LCOc1)は、0222GMT(日本時間午前11時22分)時点で1バレル=70.27ドルまで上昇。前週末終値から1.67ドル(2.4%)値上がりしている。
米WTI先物 (CLc1)は1.34ドル(2.1%)高の64.39ドル。一時4月以来の高値となる64.44ドルまで上昇した。
原油先物は3日、米軍がソレイマニ司令官をイラクの首都バグダッドで空爆によって殺害したことを受け、3%以上急伸した。
トランプ米大統領は4日、イランが報復として米国人や米国の施設を攻撃した場合、イランの施設52カ所を「非常に激しく」攻撃するとツイッターに投稿。
一方、イラク議会は5日、米軍やその他の外国部隊の駐留終了を求める決議を可決した。
トランプ大統領は5日、イラク駐留米軍が撤退を強いられた場合、イラクに制裁を科すと警告した。
威嚇の応酬で中東情勢の緊張が高まり、中東からの原油供給が滞ることへの懸念が広がっている。
ユーラシア・グループのアナリスト、アイハム・カメル氏はリポートで「(司令官殺害で)地域の緊張が長期間エスカレートし、米国の資産と中東のエネルギーインフラが大きなリスクに見舞われる。ただ、戦争には至らないだろう」と指摘。
「だが、限定的な衝突が起きる現実的なリスクはある。イランが湾岸のエネルギー施設に大規模な攻撃を行うリスクや、米国とイランの海軍が直接衝突するリスクだ」と述べた。
ユーラシア・グループは、中東の石油インフラに対するリスクが増しているとし、2020年の原油価格が1バレル=65─75ドルで推移するとの見通しを示した。
一方、キャピタル・エコノミクスのアナリスト、カロライン・ベイン氏は「(司令官殺害で)イランの制裁が解除される可能性は事実上消滅した。(イランの制裁解除は)当社の原油価格予想の大きな下振れリスクだった」と指摘。
「地政学上の問題にかかわらず、供給が伸び悩み、需要が緩やかに回復するため、2020年の原油価格は上昇する見通しだ」と述べた。
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