[シンガポール 31日 ロイター] - アジア時間の原油先物は上昇。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大について、世界保健機関(WHO)が国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言する一方、貿易や渡航の制限を勧告しなかったことを好感した。
原油価格は今週、感染拡大による石油需要への影響を巡る懸念から、30日までに4%近く下落し、3カ月ぶり安値を付けていた。
OANDAのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は「WHOは国際的な緊急事態を宣言したが、より重要なのは渡航や貿易の制限は不要との見解を示したことだ」と指摘した。
0243GMT(日本時間午前11時43分)現在、北海ブレント先物 (LCOc1)は0.90ドル高の1バレル=59.19ドル。週間では依然として2.5%安となっている。
米WTI原油先物 (CLc1)は1.03ドル高の53.17ドル。週間では1.9%安。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国でつくる「OPECプラス」の次回会合の日程について、3月から2月初旬に前倒しすることでサウジアラビアが関係国と調整していると伝わったことも、相場を支援している。
ただ、アナリストの間では依然として、新型肺炎の感染が引き続き拡大した場合の下振れリスクに対し警戒感が強い。
オーストラリア・アンド・ニュージーランド(ANZ)銀行は31日のリポートで、「中国が海外旅行を制限し、各国航空会社が運航を一時停止する中、原油需要に日量50万バレルの影響が出る可能性がある」との試算を示した。