[ニューヨーク/ヒューストン 17日 ロイター] - 業界関係者やアナリストによると、米国のシェールオイル生産は新型コロナウイルスの流行後、日量200万バレル減少していたが、原油価格の上昇を背景に今月中に日量50万バレル分の生産が再開される見通しだ。
米国のシェールオイル生産が急ピッチで回復すれば、協調減産で合意した「石油輸出国機構(OPEC)プラス」の原油安対策に複雑な影響が及ぶ可能性がある。
原油価格 (CLc1)は1バレル=40ドル近くまで回復。一部のシェールオイル生産者が採算を取れるようになってきている。新規の掘削活動が増える可能性は低いが、大手生産者は生産コストが安いテキサス州の油田だけでなく、生産コストが高いノースダコタ州、オクラホマ州のシェール層でも生産再開に動き出している。
米シェールオイル開発大手デボン・エナジー (N:DVN)のデイブ・ヘイガー最高経営責任者(CEO)は16日の業界会合で「原油価格が30ドルを上回る水準で推移すれば、第3・四半期以降は大幅な減産を行わないだろう」と述べた。
水圧破砕法(フラッキング)による掘削活動を調査しているプライマリー・ビジョンは、今月中に最大で日量50万バレルの生産が再開されると推計。ライスタッド・エナジーは6-8月の市場に追加で日量40万バレルが供給される可能性があると指摘している。
オクラホマ州で石油を販売しているヨシュア・ウェイド氏は「取引先の大手企業の一部は全面再開に向けて動き始めている」と述べた。
価格暴落時に貯蔵していた原油を市場に放出する生産者も出てきた。
米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の週間石油統計によると、国内の生産量は日量1050万バレルと、2018年3月以来の低水準。昨年11月には日量1290万バレルと、月間ベースで過去最高を記録していた。
複数のシェールオイル生産者によると、シェール油井で生産を抑制したことが国内生産減少の主因だが、こうしたシェール油井でも完全に生産を止めていたわけではないという。
シェール生産大手EOGリソーシズ (N:EOG)のロイド・ヘルムズ最高執行責任者(COO)は16日の業界会合で「当社は最低限の時間と労力で数千本の油井で生産を止めることができる。生産の再開も最低限の時間と労力で行える」と述べた。
供給増加は現物市場にも織り込まれている。シェール油田地帯のパーミアン盆地に位置するテキサス州ミッドランドの7月渡しの原油価格は、指標となる先物価格