[東京 10日 ロイター] - 自民・公明両党は10日午後、2021年度税制改正大綱を正式決定した。菅義偉首相が掲げる2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標に向けて企業の投資を促進する税制を創設するほか、研究開発投資を増やした企業には控除の上限を法人税額の25%から30%に引き上げることも明記した。
大綱では「感染症の爆発的な感染拡大の防止に注力するとともに、社会経済活動との両立を図っていく必要がある」と強調し、「政府・与党一丸となってウィズコロナ・ポストコロナの新しい社会をつくり、あらためてデフレ脱却と経済再生を確かなものとしていく必要がある」との基本姿勢を示した。
大綱は脱炭素社会の実現に向けた税優遇などに加えて、自動車重量税のエコカー減税について「見直しを行った上で、適用期限を2年延長する」ことや、コロナ禍による自粛で航空需要が激減する現状を踏まえ、航空燃料税の税率引き下げも盛り込んだ・
会見した甘利明・自民税調会長は「コロナという、かつてない惨禍で経済主体がダメージを受ける中、税制改正がどうあるべきか考えた」と述べ、「国の減税額は平年度ベースで500━600億円」と指摘した。
甘利氏は歳出拡大で基礎的財政収支の赤字幅が急拡大する懸念があると指摘する一方、「経済回復なくして財政再建なし、との基本理念をしっかり認識する」とも述べた。企業や家計が「納税し得る体力を早く取り戻す」と強調。企業や家計が担税力を回復し、財政再建が可能となるためには「日本にイノベーションが生まれるエコシステム(生態系)」が必要と指摘した。
住宅ローン減税は今年末だった入居期限を2022年末に延長。減税を受けられる物件の床面積も50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和する。一方、新たに対象となる物件は所得制限を厳格化する。
エコカー減税については、来年4月末までだった期限を2年延長する。これまで免税対象だったクリーンディーゼル車は、燃費性能に応じて減免する。
二酸化炭素の削減につながる生産設備の導入企業に対しては、投資額の最大10%を法人税から差し引く。
企業のデジタル化を促進するため、クラウドサービスなどグループ外事業者とのデータ連携を導入すると、投資額の最大5%を納税額から差し引く。
固定資産税は、近年の地価上昇による負担増を抑える措置を2021年度に限定して設ける。地価上昇で納税額が上がる公算が大きい土地の納税額は据え置き、地下が下落する土地の納税額は引き下げる。
*内容を追加しました。
(竹本能文)