[ウェリントン/シドニー 25日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)政府は25日、NZ準備銀行(中央銀行)について、金融政策を決定する際に住宅価格への影響を考慮しなければならないと表明した。3月1日から施行する。住宅価格の高騰を抑えることが狙い。
ロバートソン財務相は、中銀には、より持続可能な住宅価格に関連した政府の政策を考慮する必要があると主張。
同相は声明で「政府は住宅市場の沈静化に向けた幅広い助言を検討しており、きょうの発表は最初の一歩に過ぎない」と表明。「われわれは、ここ数カ月における住宅価格急騰は持続可能ではなく、それによって1軒目の住宅購入を望む多くの人々が市場へのアクセスに苦労していることを理解している」と述べた。
また、過熱する住宅市場の危機に対応する他の政策措置について数週間以内に発表がなされるとした。
政府は、住宅価格への影響を検討することを中銀に求めたが、金融政策に新たな責務を追加することは見送った。
中銀のオア総裁は、中銀の責務に住宅価格の安定を追加すれば、金融政策の効果が低下し、金融市場の効率に影響が出ると主張していた。また、金融政策だけで住宅問題を解決することはできないとの認識も示していた。
同総裁は25日、中銀の検討事項に住宅価格が追加されたことを歓迎すると表明する一方、金融政策・金融行政は「住宅価格に影響を及ぼす多数の要因」の一つだと主張。物価安定の維持と持続可能な雇用の最大化という中銀の目標に変更はないと強調した。
NZ中銀は、新型コロナウイルス対策の一環で、利下げや住宅ローン規制の緩和、量的緩和を実施しており、国内の住宅価格は高騰している。中銀は住宅価格が年央までに最大22.4%上昇すると予測している。
政府の発表を受け、NZドルは2017年8月以来の高値に上昇。金融政策が引き締められるとの見方が強まった。10年国債利回りは1.82%と、2019年5月以来の高水準。
ウエストパックのシニアエコノミスト、マイケル・ゴードン氏は「中銀が住宅価格を考慮に入れれば、インフレ・雇用目標の達成で漸進主義をとる可能性がある。これは目先、予想以上に金融政策が引き締められることを意味する」と分析。
同氏は、住宅市場への直接の影響は大きくないだろうとも予想し「住宅価格は金利を上げれば下落するが、今の借り入れコストは依然として低い」と述べた。
ロバートソン財務相は、中銀は政策決定が住宅市場に与える影響を考慮するかどうか、どのように考慮するかについて自律性を保持するが、住宅市場への影響の評価方法を定期的に説明する必要があると指摘。同時に、より持続可能な住宅価格を支援するという政府目標を考慮する必要があるとした。
中銀は、返済負担率や当初金利のみを返済するインタレスト・オンリー(IO)住宅ローンなどの措置に関する助言を求める政府要請を検討していると明らかにした。
*内容を追加し、写真をつけました。