[東京 9日 ロイター] - アジア時間の原油先物はまちまち。米原油・ガソリン在庫の減少を受けて値上がりしていたが、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」の協議決裂を受けて供給が増えるとの懸念で週間ベースでは下落している。
0140GMT(日本時間午前10時40分)現在、北海ブレント原油は0.09ドル(0.1%)安の1バレル=74.03ドル。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は0.01ドル高の72.95ドル。
いずれも週間では3%近く下落している。
日産証券の菊川弘之氏は、米在庫の大幅な減少を受けて、ドライブシーズンの始まりで燃料需要が増えているとの見方が強まったと指摘。米国のシェール生産は大きく増加していないため、一部の投資家がOPECプラス内の対立にもかかわらず、強気姿勢に転じたと述べた。
米エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン需要は2019年以来の高水準。7月2日までの週の原油在庫は690万バレル減の4億4550万バレルと、20年2月以来の低水準だった。ロイターがまとめた市場予想は400万バレル減だった。
ガソリン在庫は610万バレル減。市場予想は220万バレル減だった。
原油価格が大きく回復しているにもかかわらず、米シェールオイル生産業者は過去の原油価格上昇局面と違って設備投資計画を変えず、増産を控えている。投資家が、増産よりも株主リターンを要求するようになっていることが背景。
ただ、一部のトレーダーは、OPECプラスの協議決裂で、加盟国が協調減産を放棄するのではないかとの懸念が出ている。
協議では、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が対立。関係筋が7日明らかにしたところによると、ロシアが仲介に動いている。ホワイトハウスは6日、サウジ、UAEと高官協議を実施したことを明らかにした。