[東京 21日 ロイター] - 経済産業省は21日、10月15日時点での大手電力の液化天然ガス(LNG)在庫は約230万トン(速報)で、昨年同時期に比べて約70万トン多く、過去5年間で最高水準となっていることを明らかにした。経産省では「現時点において需給ひっ迫の蓋然性は低い」としながらも、想定を超える需要増や大規模電源の停止があると「需給が厳しくなる可能性がある」と警戒している。
経産省は21日午前、電力・ガス需給と燃料(LNG)調達に関する官民連絡会議を開催し、LNG在庫などの数値を示した。
資源エネルギー庁の保坂伸長官は、各社が計画的かつ着実なLNGの調達を進めることに加え「仮に電力需給がひっ迫した際には、業界の垣根を超えてLNGの融通を行うなど、エネルギー業界全体での対応を図って欲しい」などと述べ、緊急時への備えも求めた。
今年の冬の電力需給については、最低限必要な予備率3%を確保できているものの、過去10年間で最も厳しい見通しとなっている。定期的に大手電力会社のLNG在庫の確認するほか、LNG火力発電設備を保有する発電事業者には十分な燃料確保を要請。一般需要家に対しては、「無理のない範囲での効率的な電力の使用(省エネ)」への協力を呼び掛ける。
中国やインドでは電力需給がひっ迫しているほか、欧州では卸電力市場価格が高騰している。
日本でも、20年後半から今年1月にかけて、LNG供給設備などで多発したトラブルや東アジアの寒波の影響で日中韓で急激にLNG需要が増加した。4月の電力需給見通しでは、今冬が10年に1度の厳しい寒さとなった場合、22年1・2月の東京エリアの電力予備率が3%を下回ると予想されたため、9月に追加の供給力公募を実施し、約60万kWの追加的な供給力を確保した。