[ローマ 21日 ロイター] - 主要20カ国・地域(G20)首脳会議が30─31日に開催されるが、関係筋によると、脱石炭や気温上昇を1.5度までにとどめるための取り組みを巡って対立がでている。
イタリアのローマで開かれるG20サミットでは、温室効果ガスの排出抑制が重要な議題。しかし3人の関係者によると、中国やインドなど排出量の多い国は譲歩せず、7月のG20気候・エネルギー相会合以降ほとんど進展がないという。
関係者の1人は、現段階でこうした強硬姿勢は普通であり、28─29日の首脳の個人代表(シェルパ)による対面協議まで譲歩は得られそうにないと語った。
あるG20閣僚は「中国、インド、ロシアによる1.5度(の気温上昇抑制)へのコミットメントと石炭など化石燃料からの段階的な脱却が問題だとみている」と述べた。
7月のG20エネルギー・環境相会合では気温上昇を1.5度に抑えるための明確なコミットメントを示せなかった。化石燃料への補助金打ち切り、石炭火力発電への国際的な融資の停止、石炭火力発電の段階的な廃止の目標時期でも合意できず、首脳会議に持ち越された。
G20サミットには中国の習近平国家主席やロシアのプーチン首相ら少なくとも4人の首脳が参加しない見通しだが、ある関係者は進展の妨げになるとは限らないとの見方を示した。
一方、関係者によるとインドのモディ首相はG20サミットに参加する予定。また、インド政府は21日、モディ首相が英グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)首脳会議にも参加することを認めた。
ロシア、中国、インドは2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを約束していない。
別の関係者によると、中国は気温上昇を1.5度に抑えると確約することに最も消極的で、インドは2050年までの排出量実質ゼロを約束しないことに最も固執しているという。
関係者の1人は、G20サミットよりもCOP26の方が突破口が開かれる可能性が高いと指摘。中国、インド、ロシアなど排出量が多い国はG20サミットで欧米諸国から圧力をかけられていると感じ、譲歩を拒む傾向にある一方、規模の大きいCOP26はより「中立的」で妥協を得やすいとした。
議長国であるイタリアのドラギ首相は、新型コロナウイルスや世界経済の回復についても協議するとしている。