[ブリュッセル/ロンドン 24日 ロイター] - 欧州連合(EU)が一部の天然ガスと原子力発電エネルギーを「グリーン投資(サステナブル・ファイナンス・タクソノミー)」に条件付きで含める規則案について、EU諮問専門家グループは24日、解釈で混乱を引き起こし、投資家向けディスクロージャー(情報開示)の誤りにつながる恐れがあると指摘し、修正を求めた。
この案には、欧州議会議員や一部加盟国からも反対論が出ている。
専門家グループは答申で、規則案は二酸化炭素(CO2)の排出量が比較的多い天然ガス発電所をサステナブル(持続可能)と評価することになるとし、原発を新規稼働させてもEUの2050年の気候目標を達成するには遅すぎると指摘した。
専門家グループの座長を務めるネーサン・ファビアン氏はロイターに、規則案の影響として「市場は、どの投資が気候目標に整合的か、あるいは非整合的か判断がつかなくなる。金融ディスクロージャーの誤記載につながる」と述べた。
答申は、この案を正式な規則とする場合、企業や金融商品提供者にディスクロージャー上で天然ガスと原子力エネルギーを電動自動車(EV)や風力エネルギーといった他のグリーン投資とは区別して示すことを義務付けるべきと指摘。
持続可能などとうたいながらも、実態はそうでない「グリーンウォッシング」を防ぐためにもディスクロージャーの厳格化が必要とした。
EUのタクソノミーは、グリーンでない資産への投資を禁止するわけでないが、グリーンと分類することで当該資産への投資を促す狙いがある。
ドイツは、原子力エネルギーをグリーンに分類することについて、正式な反論書を提出。他の4カ国も先週反対を表明した。
欧州議会の議員グループは欧州委員会への書簡で懸念を示した。
欧州委員会は今後、最終案を公表する。欧州議会の過半数、あるいは加盟27カ国中20カ国が反対すれば、不成立となる。