[モスクワ/ワシントン 26日 ロイター] - 米国は26日、ロシアが提示した安全保障に関する要求に対し書面で回答した。一方、ロシアはウクライナ周辺の陸・海域で新たに軍事演習を実施した。
米政府の回答は、サリバン駐ロシア大使がモスクワのロシア外務省に出向いて渡した。
ブリンケン米国務長官は記者団に対し、回答ではロシアの懸念事項を取り上げると同時に、米国と同盟国の懸念も提起したと説明。ロシアが選択した場合に開かれる真剣な外交の道筋を明示し、ロシアが提起した懸念を原則的かつ現実的に精査していると明らかにした。米国は対話にオープンとも述べた。
ただ、どのように反応するかはロシア次第とし、米国もまたどちらの方向にも動く用意があると警告。近くロシアのラブロフ外相とフォローアップのための協議が行われるとの見通しを示した。
また、米国はロシアに回答するに当たり、ウクライナのほか、欧州の同盟国と完全に見解を調整したと表明。北大西洋条約機構(NATO)の「オープンドア」政策に関する米国の見解に変更はないと述べた。
NATOのストルテンベルグ事務総長も、ロシアの安全保障の要求に書面で回答したと明らかにした。ロシアに対し「直ちに緊張を緩和させるよう改めて呼び掛ける」とした上で、見解の相違は対話と外交を通して解決すべきであり、どの国も自国の安全保障体制を自由に決定すべきと強調した。
ロシアはNATOに東欧からの部隊撤収やウクライナの加盟阻止などを求めている。米国とNATOはこの要求を拒否する一方、軍備管理や信頼醸成措置などについては協議する用意があるとしている。
ロシアのグルシュコ外務次官は、NATO側の回答を精査するためどの程度時間を要するかを巡り、インタファクス通信に対し「読んで検討する。(彼らは)われわれの計画を1カ月半近く精査した」と述べた。
<パリで4カ国が協議>
一方、ロシアはウクライナ周辺の陸上と黒海で軍事演習を実施したほか、ウクライナの北に位置するベラルーシにパラシュート部隊や戦闘機を追加派遣した。ロシアは来月にベラルーシと合同演習を行うとしている。
ウクライナはロシアがパニックを引き起こそうとしていると指摘。クレバ外相は、ロシアは大規模な攻撃に必要な部隊をまだ集結させていないとしながらも、いずれ攻撃に踏み切る可能性は否定できないとした。
こうした中、パリではロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの外交官がウクライナ東部の紛争終結に向けて会談し、8時間以上にわたり協議した。共同声明では停戦合意の順守に対するコミットメントを再確認した。
ロシア政府代表として協議に参加したドミトリー・コザク氏は、親ロシアの分離独立派の提案にウクライナ政府は回答していないと指摘。ベルリンで2週間後に行われる次回協議で溝を埋められることを望むと述べた。