[ベルサイユ(フランス) 10日 ロイター] - 欧州連合(EU)は10日、フランスのベルサイユで首脳会議を開いた。首脳らは、ロシアがウクライナ侵攻で「言語に絶する苦痛」をもたらしていると非難する一方で、ウクライナが求める早期のEU加盟は認めない考えを示した。
ミシェルEU大統領は「ウクライナは欧州の一員」だと述べ、同国に寄り添い、精神的に支える姿勢を示したが、他の首脳からは早期加盟は認められないとの発言が相次いだ。東欧の加盟国の一部は早期加盟を支持している。
オランダのルッテ首相は「早期承認手続きは存在しない」と強調。EUとして、ウクライナとの関係を一段と深化させるとも述べた。
フランスのマクロン大統領は紛争中の国に対して加盟手続きを開始することはできないが、加盟への門戸は閉ざさないとの立場を示した。
EU加盟は通常、経済の安定や腐敗根絶、人権の尊重などについてEUの厳しい基準を満たす必要があり、長い年月がかかる。
一方、加盟国の一部は対ロシア制裁を強化し、石油・天然ガスの禁輸措置に踏み切るべきだと主張。ロシア産エネルギーに依存する加盟国にとっては痛みを伴う措置となる。
ラトビアのカリンシュ首相は石油・ガス禁輸がプーチン大統領を交渉の席に着かせる最も効果的な方策だと指摘。
ドイツのショルツ首相は禁輸の是非についてコメントしなかった。同国は国内の原油・ガス需要の約3分の1をロシア産で賄っている。
フォンデアライエン欧州委員長は、EUは2027年までにロシア産の化石燃料から脱却する必要があると述べ、5月半ばに行程表を示す考えを明らかにした。
首脳会議は2日間の日程で、11日はウクライナ紛争に関する防衛やエネルギー関連の支出について討議を行う見通し。