[ヒューストン/ワシントン 14日 ロイター] - 米石油大手シェブロンは、米政府がベネズエラ産原油の禁輸措置を緩和した場合に備えて、同社が関与を弱めていた現地合弁企業での裁量権拡大を可能にし、米国への原油輸入再開ができるようにするための手続きを準備している。消息筋3人が明らかにした。
消息筋2人の話では、シェブロンはベネズエラとの原油取引に従事するトレーディングチームの立ち上げに着手しており、国営ベネズエラ石油(PDVSA)との合弁企業4社に対する影響力の強化を目指している。
3人の消息筋は、シェブロンが米政府に対し、この合弁企業で発言力を高められるだけの裁量権が認められる事業ライセンス交付を要請したと述べた。現地での原油生産と輸出を回復させ、どこに輸出するかを決める上ではまず必要になる措置という。シェブロンは2020年以降は、現地合弁企業の意思決定の大半をPDVSAに委ねてきていた。
ただ消息筋2人によると、複数の米政府高官はシェブロンに新たなライセンスを与えるかどうかはベネズエラのマドゥロ大統領の対応次第だと明言している。米政府側はマドゥロ氏が収監中の米国人の解放を加速することや、ベネズエラ与党と野党との政治協議再開日程を確定させることを求めている。
消息筋の1人は「米国で19年にベネズエラ産原油輸入が禁止され、コロンビアとメキシコも米国向け輸出を減らしたことで、米メキシコ湾岸の製油所にロシア産原油が供給されてきた経緯がある」と説明した。
バイデン大統領は先週、ロシア産原油の禁輸を発表。既存契約に基づいて米国に到着するロシア産原油は4月22日が最後となる見通し。こうした事情から、シェブロンは早ければ4月中にも自社の製油所にベネズエラ産原油を出荷したい意向だ。
ベネズエラの原油生産量は16年に日量230万バレルに達していたが、米国の制裁発動やベネズエラの過小投資が響き、今年2月は日量約75万5000バレルにとどまっている。シェブロンとPDVSAの合弁企業も一時日量約20万バレルを生産していたが、米国の制裁と資金不足のため減産を強いられてきた。