[ワシントン 16日 ロイター] - 世界各国が約束した気候変動対策によってこの10年で達成できる温室効果ガスの排出削減が実質9%と、2030年までに排出量をほぼ半減する目標に遠く及ばないことが、新たな分析で分かった。
米コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターは、「国が決定する貢献(NDC)」と呼ばれる各国の排出削減計画を分析。「NDCの目標と、50年までに排出を実質ゼロにするために必要な道筋との溝が浮き彫りになった」とした。
報告書では、米国や欧州連合(EU)など50年までに実質ゼロを目指すと表明した国・地域が30年までに達成できる削減幅は対15年比で27%にとどまると分析。また、中国やインドなど50年以降に実質ゼロを目指す国は30年までに排出量が10%増える見通しとした。
実質9%の排出削減は、各国が掲げる目標のみを反映したもので、その目標が政策や法律で裏付けられているかどうかは考慮していない。実際、目標を明確な行動に移している国は数少ないという。
報告書では、18年の世界排出量の42%を占めたインドや中国など大規模新興国が、温暖化対策の前進を巡る大きな不確実要素になると指摘。これらの国は今後数年の排出量増加が他地域の削減ペースを上回ると予想した。