[ベルリン 30日 ロイター] - ドイツ政府の経済諮問委員会は30日、2022年の国内総生産(GDP)伸び率見通しを従来の4.6%から1.8%へと引き下げた。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、景気後退(リセッション)に陥るリスクがかなり高まったとの見方を示した。
ドイツ経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準に回復するのは、今年第3・四半期以降と予想した。
23年の成長率は3.6%と見込んだ。
諮問委のメンバー、フォルカー・ビーラント氏は「景気後退の確率を予測しようと試みたわけではない。供給がストップすることになるか、あるいは西側諸国がエネルギー禁輸措置の発動をもはや避けられなくなるかは分からないが、可能性として存在する。そのため(景気後退)リスクはかなり高い」と述べた。
諮問委は「戦争勃発前は、鉱工業生産の増加や堅調な労働市場が、景気回復を示唆していた。ロシアのウクライナ侵攻により、経済を巡る状況が大幅に悪化した」と説明。コロナ禍の影響で既に痛んでいたサプライチェーン(供給網)がさらに損なわれ、天然ガスと原油価格の急上昇が企業や民間消費の重しとなっていると指摘した。
22年のインフレ率は6.1%に達し、来年は3.4%に鈍化するとの予想を示した。
ビーラント氏はロイターに、あらゆる手段を使ってロシアからの原材料への依存度を下げる必要があると指摘し、ドイツ国内の原子力発電所の使用年数延長を支持する立場を示した。