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エネルギー&貴金属:週次レビューと見通し

発行済 2022-04-17 16:58
更新済 2022-04-17 16:32
© Reuters.

執筆:Barani Krishnan

Investing.com -- やるのか、やらないのか?欧州がロシアの原油と天然ガスに対して禁止措置をとる可能性は、欧州連合とエネルギー市場に垂れ下がるダモクレスの剣のようなものである。やれば(経済的に)破滅し、やらなければ(政治的に)破滅する。

この重圧によって、原油が前々週に13%下落した後、先週は9%近く反発したことにも反映されており、値動きは禁輸措置によってEUが自らに与える損害を織り込もうとしている。

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから6週間、原油は史上最悪の値動きを経験している。政治的、道徳的には正しいと西側諸国は理解しているものの、EU27カ国にとって、原油の25%、天然ガスの40%を供給しているロシアからの輸入を断つという通常では考えられない行動に出るかどうか、なかなか決めきれないでいる心情を原油価格の値動きは示している。

金曜日の時点では、ジレンマはさらに悪化しているようにみえた。

報道によると、EU当局がロシアの原油製品の段階的な輸入禁止措置を起草しているが、この措置が浮上するのは、早くてもフランスの第2回選挙後だという。

EUの指導者たちが綱渡りをしていることの現われである。一方では、ブーチャのようにウクライナ人の虐殺が広く記録されているロシアへの資金調達に、輸入品/資金を役立てないという約束を果たそうと躍起になっていた。一方で、フランスのマクロン大統領のような重要な同盟国は、紛争によって日々高くなる食料と燃料の価格に反発している国民によって、選挙で負けないよう、気にかけている。

「ロシアがウクライナを攻撃して以来、欧州委員会とEU加盟国は、制裁措置の引き金となるレッドラインを定義することを巧妙に避けてきた」と、Eurasia Groupのコンサルタント会社 Emre Peker氏はニューヨーク・タイムズの報道を引用して述べた。

「ウクライナ東部でロシアによる攻撃がエスカレートし続け、ブーチャや他の場所で起きている悲惨な状況が、欧州の姿勢を硬化させる原動力となっているため、EUは引き金を引くことをためらうだろう」と同氏は付け加えた。他に大きな災害が発生すれば、EUの対応にさらに遅れるだろう」。

EUは2月24日以降、ロシアに対して5回にわたり、ますます厳しい金融制裁を実施している。しかし、天然ガス輸入に対する制裁は、特にドイツにとってあまりにも重要であるため、議論の対象から外したままである。

また、ドイツは原油の34%をロシアから輸入している。そのため、代替供給先をみつけるだけでなく、ロシアからのパイプラインで供給されている2つの製油所、特にポーランド国境に近い東部の都市シュヴェットにある製油所に向かう原油の陸上輸送を十分に確保することが重要な課題である。

ドイツの駐米大使は、自国にとって何が問題なのかをツイートで明らかにした。「ロシアからの化石燃料の輸入を冷遇すれば、大規模かつ即座に混乱を招くだろう」とEmily Haber氏はいう。「近代的な産業プラントは、電気のスイッチのようにオンとオフを切り替えることはできない。その影響は、EUの経済エンジンであり、世界第4位の経済大国であるドイツ以外にも及ぶだろう。」

しかし、困っているのは欧州だけではない。ロシアは欧州向けの貨物をアフリカ、東アジア、南米に迂回させていると口にしながらも、ロシアも制裁による悪影響があることを認めている。

プーチン大統領は、「ここでの最も緊急な問題は、輸出の混乱である」と述べ、数十年にわたって確立されてきた商習慣や関係が根底から覆されることに言及した。

これは、ロシアのエネルギー輸出で経験している痛みに加えて、すでに欧州に納入されている分に対しても、未払いとなっていることが理由であるとプーチン大統領は述べた。「これらの非友好的な国の銀行は、資金の移動を遅らせている」と批判する。

今のところ、欧州の新しい措置の草案は、Ursula von der Leyen欧州委員会委員長の首席補佐官Björn Seibert氏が率いる同委員会の少数の専門家によって作成されている。

ウクライナに関するEU首脳会議は5月末に予定されているが、関係者によると、ブーチャと同様の規模攻撃がロシアから再びなされているため、会議が前倒しされる可能性があるという。

もちろん、双方にとって苦痛が伴うが、かつては欧州にとって不可能と思われた措置が、今では可能性が高まっているのである。

原油:週次センチメント&WTIのテクニカル分析による見通し

金曜日の祝日を前に、世界の原油ベンチマークであるブレント原油は、1バレルあたり111.23ドルで木曜日の取引から小幅下落した。過去2週続落で13%下落したあと、先週、ブレント原油は8.7%上昇した。

ニューヨークで取引される米国の原油指標であるWest Texas Intermediate(WTI)は、木曜日の取引を2.26ドル(2.1%)高の106.51ドルで終了した。週次では、WTIは前々週に13%下落した後、先週は8.8%の上昇となった。

skcharting.comのチーフ・テクニカル・ストラテジストである、Sunil Kumar Dixit氏は、米国の原油ベンチマークは、その勢いが止まらなければ、今後1週間で119ドルまで上昇幅を拡大する可能性があると述べた。

「WTIは、前回の安値92.90ドルからなんと14ドルも上昇した」と同氏は指摘し、RSI(相対力指数)が62、ストキャスティックスが55/48と、強気の勢いがさらに強まっていると付け加えた。

「今後1週間、フィボナッチ38.2%レベルである104.50ドルがサポートとして維持される限り、価格は堅調に推移し、反発によって最初の110-112ドルを目指し、その後114-116ドル、あるいは119ドルまで延長できる」と述べている。

しかし、逆に105ドルを下回るようなことがあれば、米国産原油は困難に陥る可能性がある。

「もし104.50ドルを割り込むと、フィボナッチ50%の96.50ドルまで一気に下落する可能性がある」と警告している。

金:週次市場動向 

ウクライナ危機とインフレ圧力の高まりが安全資産である金の魅力を高め、木曜日に下げたものの、2週連続の上昇で取引を終えた。

金の上昇に伴い、株式市場は2週連続で下落した。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策に過度に積極的で、米国経済を後退させるのではないかという懸念からである。

ニューヨークのコメックスで取引されている金先物6月限は、12.20ドル(0.6%)下がり、1オンス1972.50ドルで木曜日の取引を終えた。しかし、今週は1.7%上昇し、前週の1.2%上昇に加え、2週連騰となった。

SPIアセット・マネジメントのマネージング・パートナーであるStephen Innes氏は、ロイターが伝えたコメントの中で、「ウクライナ戦争の激化による政治的リスク・プレミアムが再び高まり、コモディティ全般の価格が上昇し、それがインフレ環境を作り出している」と述べている。

「反面、市場はこれが単なる短期的な現象なのか、それともFRBのLael Brainard理事の発言がタカ派的でないために、市場がリスクを少し減らしているのか分からない」と同氏は付け加えた。

FRB理事でもうすぐ副議長になるLael Brainard氏は、火曜日、FRBがインフレをコントロールするために激しい利上げを行うことにためらいはないと述べた。

水曜日に発表された3月のFOMC議事録では、ほとんどの委員が今後の会合で50bpsの利上げを「1回か2回」行うことに同意していると述べ、タカ派的なトーンをさらに強めていた。

それに続いて、FRBで最もタカ派的な政策委員でセントルイス連銀総裁のJames Bullard氏は、2倍のペースで推移するインフレを抑えるためには、FRBの通常の目標を超え、今年の後半には3.5%まで利上げを行う必要があると述べた。

セントルイス連銀のブラード総裁は、2022年後半にFFレートを3.5%まで上昇させたい、と木曜日のコメントで述べている。

コロナ禍の大流行時に金利をほぼゼロにした後、FRBの政策決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)は3月16日にパンデミック後初となる利上げを決定し承認、25bp(0.25%)の利上げを実施した。

多くのFOMCメンバーは、40年来の高水準にあるインフレを抑制するには今回の利上げは控えめであり、将来的には50bpのもっと積極的な利上げが必要かもしれないと結論づけている。FRBは、今年中に7回もの利上げを検討している。

FRBはインフレとの戦いに遅れをとっており、年内にさらに3%ポイントの利上げが必要だとBullard氏は述べた。同氏が示唆したペースは、FRBが年内の残り6回の会合でそれぞれ50bps(0.50%)の利上げに踏み切ることを意味する。FRBの一般的なインフレ目標は年率2%である。

コロナ禍による混乱で経済成長率は2020年に3.5%縮小した後、2021年は5.7%拡大し、1982年以来最も速いペースで成長した。

しかし、インフレ率はさらに速いペースで成長した。FRBが注視する米国のインフレ指標である個人消費支出指数は、12月までの1年間で5.8%、2月までの12カ月間で6.4%拡大し、こちらも40年ぶりの速さであった。

FOMC関係者は、2022年末から2023年末のどこかでインフレ率をFRBの目標範囲である年率2%に戻すと宣言している。

金:テクニカル分析による見通し

金のスポット価格を追跡しているskcharting.comのDixit氏は、金は今週変節点を示すと述べた。

「RSIとストキャスティックスは、上昇モメンタムが続くことをサポートしており、2,001ドル、2,015ドルへの次のレッグには、1,980ドル以上で決定的な買い手が必要だ」と分析する。

しかし、木曜日の終値自体が弱かったため、横ばいの動きも出てくるかもしれないと注意を促している。

「月曜日にアジアと欧州時間に市場が再開されると、1959ドルを再び試すために下降する動きがあり、それが1932ドルへの短期的な調整を引き起こす可能性がある」と同氏は話す。

1932ドル以上を維持できなかった場合、特に米国債の利回りが急騰している環境では、金がさらに下落し、1890ドルに向かう可能性があるという。

「トレーダーは、景気後退懸念から数年来の高水準にある米国10年債30年債の利回りに注意する必要がある。これらの利回りは、ドルが急騰して売りを誘発するまで、インフレ・ヘッジに拍車をかけるので、金にとって有益にも破壊的にもなりうる諸刃の剣のようなものだ」と同氏は話す。

免責事項:Barani Krishnanは、彼が執筆しているコモディティおよび証券のポジションを保有していない。

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