[コロンボ 16日 ロイター] - スリランカのウィクラマシンハ新首相は16日、国民への演説で「今、われわれにはガソリン在庫がもう1日分しかない」と訴えた上で、インドとの融資枠を使った同国へのガソリン搬入2件とディーゼル油搬入2件によって数日のうちに状況がいくらか改善する可能性があると呼びかけた。
ただ、同国は必要不可欠な医薬品14品目の不足に直面。ウィクラマシンハ氏は「われわれは何らかの犠牲を払うこと、難局に見舞われることに備えなければならない」とし、「あと数か月間はわれわれにとって最も困難な時期になる」と国民に耐乏を求めた。生活必需品の輸入代金を支払うのに外貨7500万ドルが緊急に必要になっているとも指摘した。
15日にはディーゼル油の輸送船1隻がスリランカに到着したが、まだ全国には配給されていない。担当閣僚は16日、向こう3日間で1190カ所のガソリンスタンドが補給されると主張し、それまでは長蛇の列でスタンドに並ばないよう国民に呼びかけた。同国では燃料を求めて6─7時間並ぶのも珍しくなく、これが反政府抗議活動の火に油を注ぐ形になっている。
スリランカはコロナ禍と石油価格高騰と無理な減税で経済危機が悪化し、ラジャパクサ大統領と同氏の一族への抗議活動が拡大。反政府派と政府支持派との衝突で死者や負傷者が多数出ている。
12日にはウィクラマシンハ元首相が新首相に任命されたが、反政府派はラジャパクサ氏が大統領でいる限りは抗議活動をやめないと公言。ウィクラマシンハ氏が指名した新閣僚4人がラジャパクサ氏の与党メンバーだったことで、ウィクラマシンハ氏に対しても傀儡にすぎないと批判している。ウィクラマシンハ氏は新財務相は未発表。先週辞任した財務相は国際通貨基金(IMF)に資金支援を求める予備交渉に入っていた。