[アブダビ 16日 ロイター] - 13日に死去したアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ前大統領に弔意を示すため、米国のハリス副大統領率いる政府代表団が16日、アブダビを訪問した。オースティン国防長官やバーンズ中央情報局(CIA)長官やホワイトハウスの複数の高官ら「重量級」が代表団に参加。欧州訪問中のブリンケン国務長官もアブダビに移動した。
冷え込んでいたペルシャ湾岸諸国との関係改善はウクライナ危機によってバイデン政権にとり一段と急務になっており、複数の米高官も弔問のそうした狙いを認める。
米政府高官の1人によると、ハリス氏は安全保障、気候変動、エネルギーなどさまざまな分野で湾岸諸国とのつながりを深める意向伝達を用意。ただUAEの新大統領となったアブダビ首長国のムハンマド皇太子とハリス氏が石油について話し合ったかとの同行記者団の質問には、ハリス氏は答えなかった。
今年1月にイエメンの親イラン組織フーシ派がアブダビをミサイル攻撃した際、米国はUAEへの強い支援を表明せず、同国は不満を募らせていた。ムハンマド氏は攻撃直後にバイデン氏から電話がなかったことに立腹したとされる。
隣国サウジアラビアも、実質的な政治指導者のムハンマド皇太子に対してバイデン氏が人権問題を背景に今なお直接対話を拒んでいることを快く思っていない。
ロシアのウクライナ侵攻に関して湾岸諸国は今のところ、ウクライナ側に立つのを拒んでいる。侵攻をきっかけに原油価格が一段と高騰し、米国は石油輸出国機構(OPEC)主要国であるサウジとUAEに増産を繰り返し要請しているが、両国は増産に抵抗している。
ルッキングス研究所のオマー・タスピナー氏は今回の弔問団について「関係修復に向けたバイデン政権側からの強力な『微笑外交』だ」と指摘した。
UAE弔問では各国も首脳クラスがUAEを訪れている。