[シンガポール 16日 ロイター] - 世界各地の港湾の混雑は控えめに見積もっても2023年初めまで続き、スポットの海上貨物運賃は上昇し続けるー。米調査大手S&Pグローバル・プラッツのイベントに出席した物流企業の幹部は15日、相次いでこのような見通しを示し、船舶輸送コストを抑えるために契約を長期に切り替えるよう用船者に促した。
包装大手ビジー・インダストリーズのグローバル・ロジスティックス部門で海上貨物製品を統括するピーター・サンドラ氏は「港だけでなく陸上インフラでも、現在の混雑が少なくとも来年第1・四半期まで続くと考えている」と述べた。
来年は世界各地の海運会社が保有船舶数を増やす可能性はあるが、運賃は、船会社が増加した輸送能力をどう配分するかに左右されるため、大きく下がるとは限らないという。
産業機器サプライヤーであるBMTアジア・パシフィックで投資サポート部門を率いるエリック・ジン氏は、運賃の上昇、輸送所要時間の長期化、先行きの不確実性の高さなどが海運業界にとって「ニューノーマル(新常態)」になるとの見方を示した。
物流幹部は用船者に、コストや船舶の予約状況が大きく変動する問題に対処するため、船主と長期契約を結ぶよう推奨。サンドラ氏は「もはや3カ月、6カ月、1カ月どころか、1年でさえなく、2―3年が妥当だ。コストを確定し、スペースを確保したいからだ」と話した。
海運業界は新型コロナ禍で2020年以降、輸送時間が長くなり、運賃が上昇。今年に入ってからはウクライナ紛争や上海のロックダウン(都市封鎖)がサプライチェーン(供給網)の混乱に拍車をかけている。