[ビリニュス 22日 ロイター] - リトアニアのナウセーダ大統領は22日、ロイターのインタビューに応じ、同国がロシアの飛び地カリーニングラードへの本国からの貨物列車運行を拒否した問題で、ロシアが電力供給遮断などの報復に動く事態に備える考えを示した。軍事的な衝突は想定していない。
欧州連合(EU)が発動した対ロシア制裁に基づき、加盟国であるリトアニアはカリーニングラードとロシア本土間の建設資材や金属、石炭などの物資の国内通過を拒絶。ロシア側はこれに激怒し、プーチン大統領最側近の1人は21日、リトアニア国民が痛みを感じる方法で報復すると警告した。
こうした中でナウセーダ氏は「ロシアが(対抗措置として)非友好的な行動、例えば送電システムの遮断に動くことなどへの準備は整っている」と語った。
旧ソ連圏のバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)はEU加盟から17年を経た現在でも、安定的な電力供給をロシアに依存している。ただリトアニアは昨年、ロシアが電力供給を遮断した場合の「保険」として、ポーランドとシステムをつないで欧州大陸から電力を得るための装置を導入した。
またEUが16億ユーロを拠出したプロジェクトは、バルト3国が2025年にロシア、ベラルーシと共有する送電システムから脱却し、欧州大陸の送電システムに切り替えることを目指している。
一方、ナウセーダ氏は「われわれは北大西洋条約機構(NATO)に加盟している以上、ロシアが軍事的な手段でわれわれに挑んでくるとは考えていない」と語った。
ナウセーダ氏は、来週のNATO首脳会議にリトアニアとロシアが現在対立している問題を持ち込む意向を表明。この会議ではバルト3国を含め、ロシア周辺のNATO加盟国の駐留部隊を拡充するかどうか検討する見通しだ。
同氏は「ロシアの現状や同国が問題解決のためにどんな手段や威嚇を行使しているかを説明する上で、今回の事例(対立)を用いるのは間違いではないだろう。それにより、われわれがロシアからごう慢な態度で脅されている時に、ロシアの顔を立てられるようにしなければと発言する人々を沈黙させられるかもしれない」と述べた。
さらに同氏は、EUの対ロシア制裁が段階的に強化されるのに伴って、リトアニアもカリーニングラードとロシア本土間の輸送禁止物資の対象を拡大していく方針を明らかにした。
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