[ハイファ(イスラエル) 26日 ロイター] - イスラエルの港湾都市ハイファは、地中海東部の海運拠点としての重要性がますます高まりそうだ。米国の外交努力の下でイスラエルが近隣のペルシャ湾岸諸国との関係を正常化する中、中国とインドの企業が競ってハイファの港湾に投資しているためだ。
インドの港湾開発大手アダニ・ポーツとイスラエルの物流企業ガドットは今月、ハイファ港の運営会社を41億シェケル(11億8000万ドル)で買収することに合意した。
アダニの創設者のゴータム・アダニ氏はツイッターに今回の買収について「戦略的で、歴史的に重大」と投稿。ハイファ港が欧州との接続拠点となることや、アジアとの新たな交易経路を形成することを見込んだ投資だと説明した。
1年前にはハイファの隣接地区に中国の上海国際港務集団(SIPG)が55億シェケルを投じてコンテナ輸送ターミナルを立ち上げている。
SIPGのターミナル運営会社のMiao Qiang最高経営責任者(CEO)は「イスラエルは東洋と西洋を結ぶ非常に重要な場所だ」と指摘。「スエズ運河を東から西に運航するすべての船舶がこの海域を通る」と述べた。
ハイファ周辺ではイスラエル全土の輸送網に接続する新たな貨物鉄道の建設が進められており、地域的な統合が続けば輸送網がヨルダンやイラク、サウジアラビアへとつながる可能性もある。
ガドットのOpher LinchevskiCEOはハイファ港での合弁事業について「イスラエルとペルシャ湾岸諸国との関係改善」が追い風になるとの見方を示した。
イスラエルの港湾は現在、合計で約300万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)の貨物を取り扱っている。SIPGは港湾全体の取扱量が向こう5─8年で500万TEUに拡大し、SIPGのターミナルの処理能力は2倍の200万TEUに増えると見込んでいる。