[シャルムエルシェイク(エジプト) 9日 ロイター] - エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、国際機関や各国の政治家、業界団体を含む原発支持派が、原子力は世界の脱炭素化に役立つエネルギーだと積極的にアピールしている。
原子力はこれまで安全性や放射性廃棄物処理、膨大な発電所建設費用といった問題が影響して投資の呼び込みに苦戦を強いられてきた。ただ急速な気候変動や足元のエネルギー危機を受け、原子力に向ける政策担当者の視線は和らぎつつある。
こうした中で国際原子力機関(IAEA)は、27年にわたるCOPの歴史で初めて、原子力のパビリオンを設置し、気候変動対策として原子力技術の持つ可能性を詳しく解説する機会をつくった。
グロッシ事務局長はロイターのインタビューで「原子力に言及するなら、それは問題の一部ではなく解決策の一部となる確かなエネルギー生産の話をしているということだ。原子力エネルギーは確固とした足場があり、常に安全という実績を残していくだろう」と語った。
バイデン米政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は8日、米輸出入銀行がルーマニアの原発建設向けに30億ドルを供与することに正式な関心を示していると明かした上で、原子力は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を達成するための手段の1つだと強調した。
米国は既に、脱炭素化戦略の一環として既存原発の稼働維持のために数十億ドルの予算を確保しており、原発の新規プロジェクトも推奨したいとしている。
各国政府に原発受け入れを求める業界団体のネットワーク「ニュークリア・フォー・クライメート」の共同責任者を務めるハンナ・フェンウィック氏は、COP27で政策担当者らに原子力エネルギーへの投資を検討してほしいと働きかけていると述べた。「原子力は何年にもわたって気候変動問題の解決手段になるとわれわれは言い続けてきた。地政学的な状況が変わり、人々が聞く耳を持つようになっている」という。