［ブリュッセル １０日 ロイター］ - 欧州連合（ＥＵ）の行政執行機関である欧州委員会が、ガス価格の高騰を緩和するための「補正メカニズム」を巡り、ＥＵ加盟２７カ国に対し１１日に提案することが関係筋の話で分かった。ただ、多くの加盟国が求めていた確固たる上限価格設定にはならない。
ＥＵはガス価格の上限を巡って綱引きしてきた。記録的な高インフレを引き起こしている深刻なエネルギー不足の中で、１０数カ国の加盟国が価格引き下げのために様々な形の市場介入を求めている。
しかし、ＥＵ圏最大の経済大国のドイツ、オランダ、および欧州委は、上限設定は供給者の意欲をそぎ、ガス消費削減のインセンティブを低下させるリスクがあると主張している。
ＥＵ外交官の１人によると、欧州委はＥＵ諸国に対し、欧州の天然ガスの指標価格となるＴＴＦに「包括的でしっかりとした」上限を設定すると価格を下げられないだけでなく、法的リスクや供給リスクも生じると説明した。この外交官は「リスクは利益を上回る」とも指摘した。
別の当局者によると、欧州委は１１日０８００ＧＭＴに開かれるＥＵ加盟２７カ国の代表者との非公開会合で補正メカニズムを巡る考えを説明する。
この当局者は「ＬＮＧ（液化天然ガス）の国際競争の中で、市場価格を下回る固定価格を設定することによって供給の安定性を危うくすることはない」と述べた。
ポーランドやベルギーなどの国々は価格高騰を明らかに抑制する効果的な手段を求めており、欧州委の提案は要望した上限設定に遠く及ばないと反発している。