[ロンドン 15日 ロイター] - 石炭火力発電からの脱却を目指す国際的な枠組み「脱石炭連盟(PPCA)」は15日公表した報告書で、主要先進国はウクライナ戦争にもかかわらず石炭火力発電の段階的廃止の取り組みを堅持しているが、中国は石炭火力の拡大が続いており、先進国の成果が打ち消される恐れがあると指摘した。
報告書によると、経済協力開発機構(OECD)と欧州連合(EU)の加盟国では、2010年から30年にかけて石炭火力の発電能力の75%以上が廃止される見通し。
英国やドイツなど一部の国は、ロシアからのエネルギー供給を巡る懸念やウクライナ戦争の影響でこの冬の石炭火力発電所の閉鎖が遅れているが、段階的廃止の日程は全体としては変更されていない。
一方、世界全体ではまだ約300ギガワット(GW)相当の石炭火力発電所の新規建設が計画されており、その約3分の2に当たる197GWが中国で建設される予定。
報告書は「OECD諸国における脱石炭化の加速と、その他の国々における新規プロジェクト計画の規模縮小が、中国で続く石炭火力の拡大で打ち消されている」とした。