[ブリュッセル 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国が19日に開催したエネルギー相会合で、天然ガスの価格上限の設定を180ユーロとすることで合意した。
2月15日以降、天然ガス取引指標であるオランダTTF期近物が3日間にわたり1メガワット時(MWh)当たり180ユーロ(191.11ドル)を超え、かつ既存の価格査定に基づく基準価格を35ドル/MWh上回った場合に上限が発動される。
輪番議長国を務めるチェコのシーケラ産業貿易相は「われわれは、市民をエネルギー価格の高騰から守るための重要な合意を見出すことに成功した」と述べた。
合意は各国が書面で正式承認した後に発効する。
ガス価格の上限設定を巡っては、各国の意見が対立し数週間に及ぶ協議が行われてきた。3人の関係筋によると、上限設定に反対の立場を表明してきたドイツもこの日の会合では賛成票を投じた。反対はハンガリーだけだった。オランダとオーストリアは棄権した。
EU政府筋によると、ドイツは、各国が再生可能エネルギー承認迅速化に関する別の規則の変更に合意するとともに、上限設定に厳格なセーフガードが加えられたことを受け、賛成に転じた。
セーフガード措置には、EUがガス供給不足に直面した場合や、TTF取引高の減少、ガス使用量の急増、市場参加者のマージンコール(追加担保の要求)の急増が見られた場合に上限設定を停止することが含まれている。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、上限設定によりロシアとロシアの国営ガス大手・ガスプロムには市場をゆがめる力がなくなると評価した。
一方、ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は、市場価格に対する攻撃であり容認できないとの見解を示した。インタファクス通信が報じた。