[ニューヨーク 14日 ロイター] - 14日の米株式市場の個別銘柄オプション取引で、銀行株が近く反発する展開に賭ける動きが広がった。
シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の経営破綻を受け銀行株は大きく売られた。ただ14日の銀行株は、米政府の緊急対応措置などを好感した形で急反発。市場参加者の間で、最悪の売り局面は終わったとの観測が浮上してきた様子がうかがえる。
こうした中で個別銘柄オプションでも、ファースト・リパブリック・バンクやウエスタン・アライアンス・バンコープといった地銀や、上場投資信託(ETF)のSPDR・S&Pリージョナル・バンキングETFなどさまざまな銘柄で、短期のコール(買う権利)が購入された。
トールバッケン・キャピタルのマイケル・パーブス最高経営責任者(CEO)は「銀行株の値動きは、まだ始まったばかりだが、幾分落ち着きを取り戻す流れになっている。システミックな(信用不安の)波及という懸念は消えつつあるようだ」と述べた。
SPDR・S&Pリージョナル・バンキングETFの価格は14日に2%上昇し、オプションの出来高は22万4000枚で、コールとプット(売る権利)の比率は1.13対1でコールが優勢。13日は0.89対1でプットが優勢だった。
キャピタル・マーケット・ラボラトリーズのオプヒル・ゴットリーブCEOは「本日の地銀株にはリスクオンの雰囲気が漂っている」と指摘。特に期間1週間未満に権利行使期限が到来する短期オプションに強気取引が集中したと付け加えた。
RBCキャピタル・マーケッツのデリバティブ戦略責任者エイミー・ウー・シルバーマン氏は、この日のオプション取引について、既存のヘッジポジションの利益確定にある程度のコール買いが加わったと分析し、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてトレーダーが警戒姿勢を全面的に解除したわけではないとくぎを刺した。
シルバーマン氏は「間近に迫る米連邦準備理事会(FRB)の決定が依然として市場参加者に重くのしかかっていると思う」と話す。
それでも幅広い銀行を含むファイナンシャル・セレクト・セクターSPDRファンドの期間30日の予想変動率は、1年ぶりの高水準だった前日の36%から28%に下がっており、オプション市場にも多少平静さが戻ってきたとは言えそうだ。