[ハンブルク 20日 ロイター] - エジプトやアルジェリア、モロッコなどの中東・北アフリカ地域(MENA)の大手穀物輸入業者は、黒海を経由するウクライナ産穀物の安全な輸出ルートが今週閉鎖されたことについて、冷静に反応している。欧州のコモディティー商社が20日、明らかにした。
ある欧州の穀物トレーダーは「ロシアのウクライナ侵攻後の価格急騰に匹敵する輸入業者によるパニック買いは、今回は起きていない」と説明。「買い手は数日間は状況を見極めたいと考えており、誰も急いだり、パニックに陥ったりしていないようだ」と述べた。
トレーダーによると、ロシアやルーマニアなど黒海沿岸の生産国から小麦を中心に大量の穀物が供給されており、欧州連合(EU)で収穫作業が進む間、備蓄用の穀物を購入することができる。このため、供給は潤沢となる見通し。
過去数カ月間、黒海を経由したウクライナからの輸送は小規模にとどまっていた。輸入業者は既に、ルーマニアやブルガリアの港を経由した陸路か、ドナウ川を経由した西欧の港への輸送に切り替え始めている。
別のトレーダーは「ロシアが大量の小麦を世界市場に供給しているほか、フランスやドイツなどEUでは今後数週間で新たな収穫分が到着し、買い付け業者は多くの選択肢がある」と指摘。その上で「供給危機は起きていない」との見方を示した。