[国連 21日 ロイター] - 国連のグリフィス事務次長(人道問題担当)は21日に開かれた国連安全保障理事会で、ロシアが黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)の履行停止したことで穀物価格が急騰し、途上国を中心に何百万人もの人々が飢餓の危険に晒されるおそれがあると懸念を示した。
グリフィス氏は「発展途上国が価格上昇で最も深刻な影響を受ける」とし、現在69カ国で合計3億6200万人が人道支援を必要としていると指摘。ロシアの決定により多くの餓死者が出るおそれがあると述べた。
米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、ロシアには黒海イニシアティブの履行を停止する正当な理由はないとし、「ロシアは単に黒海を脅迫に使っている」と非難。欧州連合(EU)のオロフ・スクーグ国連大使は、黒海イニシアティブの再開に貢献する解決策を国連と共に模索していく姿勢を維持していると述べた。
ロシアのドミトリー・ポリアンスキー国連次席大使は、黒海イニシアティブが世界の食料市場で果たす重要な役割を踏まえ、ロシアは同イニシアティブに反対していないとし、ロシアの要求が満たされれば復帰する用意があると改めて表明した。