[4日 ロイター] - 黒海に面するロシア・ノボロシースクの海軍基地がウクライナの無人艇(水上ドローン)による攻撃を受け、軍艦1隻が大きな被害を受けた。関係筋2人が4日明らかにした。
ロシア国防省はこれより先、ウクライナの攻撃を撃退したと発表していた。
声明で「ウクライナの武装勢力が2隻の無人艇でノボロシースク海軍基地を攻撃しようとした」とし「無人艇は基地の外を警備していたロシア艦船の標準兵器の砲撃によって破壊された」と説明した。被害については言及しなかった。
RIA通信によると、当局は攻撃による負傷者や被害は報告されていないとしている。
しかしウクライナの情報筋は、ウクライナ海軍と保安庁(SBU)による共同作戦の結果、ロシア海軍の揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」が深刻な損傷を受け、戦闘任務を遂行できなくなったとした上で「撃退したというロシア側の声明は全てねつ造だ」とした。
港湾業務に詳しい別の関係筋は、ロシア海軍の大型艦艇が損傷を受けて自力では動けなくなったため、えい航しなければならなかったと話した。
ロイターが確認した動画には、損傷を受けたゴルニャク号が大きく傾きながらタグボートにえい航されている様子が映っている。
元ウクライナ海軍大尉で海軍コンサルタントのアンドリー・リジェンコ氏は、水上ドローンは発射地点からノボロシースクまで740キロメートル移動したと推定。「ウクライナ海軍がこれほど遠くまで威力を誇示したのは初めてのことだ」と述べた。
ロシア当局はコメントしていない。
<高まる黒海の緊張>
ノボロシースク港は黒海最大級の港であり、石油および石油製品輸出におけるロシアの主要貿易港。ノボロシースクからのロシアとカザフの原油輸出は平均日量約180万バレルと、世界の石油供給の約2%に当たる。
ソーシャルメディアには4日午前、ノボロシースクで爆発音と銃撃音が聞こえるという投稿が相次いだ。ウクライナの攻撃と確認されれば、ロシアの主要商業港に初めて攻撃を仕掛けたことになる。
ノボロシースク港を石油輸送拠点とするカスピ海パイプライン・コンソーシアムによると、当局が全ての船舶の移動を一時的に禁止した。施設に被害はなく、タンカーへの石油積み込み作業は続けているという。