Alasdair Pal
[シドニー 31日 ロイター] - 豪エネルギー市場運営会社オーストラリア・エネルギー市場オペレーター(AEMO)は31日、国内のビクトリア州と南オーストラリア州が年末までに高温と乾燥で電力不足に陥る恐れがあるとの年次報告書を発表した。南半球の夏は通常12月に始まる。
ここ3年は涼しく湿潤な気候が続いたが、エルニーニョ現象で今夏は高温となり、豪全土で電力需要が高まるとみられている。
AEMOのダニエル・ウェスターマン最高経営責任者(CEO)は、「主に高温と乾燥に加え、石炭火力発電への依存度が歴史的低水準にあることから、近年よりリスクが高まる」との見方を示した。
報告書は、老朽化した石炭火力発電所の閉鎖で失われた発電能力を補うだけの再生可能エネルギーを生産することが長期的な課題になると指摘した。
オーストラリアの石炭埋蔵量は豊富だが、国内エネルギー市場では再生可能エネルギーへの転換が進んでいる。
AEMOによると、2033年までに既存の石炭火力発電所の約62%が引退する。報告書は「緊急かつ継続的な投資」がなければ、国内電力市場の信頼性はリスクにさらされると指摘した。