サイバーマンデー特売。最大60%引きInvestingPro特別セールを請求する

『万引き家族』へのアプローチ【フィスコ・コラム】

発行済 2018-06-10 08:58
更新済 2018-06-10 09:20
『万引き家族』へのアプローチ【フィスコ・コラム】
カンヌ映画祭の最優秀賞受賞で話題の『万引き家族』が、6月8日から全国で一斉公開されています。
現在の日本の貧困問題を扱っているとされますが、様々な切り口でアプローチできる作品だと思います。



日本映画としては21年ぶりの「パルムドール」受賞作とあって、先行上映ではレイトショーにもかかわらず、客席はほぼ満席でした。
タイトルからいって、登場人物がそれぞれユニークな盗みのテクニックを駆使する『オーシャンズ11』(2012年アメリカ)、あるいは幼い子供が犯罪もいとわずにたくましく生きる姿を描いた『スラムドッグ・ミリオネア』(2008年イギリス)のような娯楽作品を想像していました。



出演者も樹木希林とリリー・フランキーぐらいしか知らなかったのですが、この2人はもちろんのこと、他の女優や子役のリアリティ豊かな演技に圧倒されました。
年金不正受給事件をモチーフとしたストーリーで、「家族」は少ない年金を分け合い、足りない食料や日用品を万引きして暮らしていました。
彼らは血のつながりはないのに実に仲が良く、前半はハートウォーミングな場面に和まされます。


「祖母」が「孫娘」に鍋ものを自分の口で吹いて冷ましてから取り分けるシーンなどは、確かに存在していた家族団らんの象徴的なシーンとして印象に残りました。
映画の終盤にかけては、日本における貧困という現実を突きつけられます。
是枝裕和監督はこの作品を通じて何を一番に訴えたかったのか、などと映画評論家のような見方をしなくても、それぞれの受け止めが許されるのではないでしょうか。




例えば、血縁関係のない共同生活者は「家族」たりうるのか、『羅生門』に出てくる老婆さながらの「祖母」にみられるように老いとはどのような状態か、など考えさせられます。
また、小さな兄妹の盗みを見なかったことにして罪を問おうとしない駄菓子屋の店主から、以前は普通にあった社会の寛容さがいつの間にか世の中から消えてしまったのではないか、など多くの興味深いテーマがあるように思えます。



あえて市場関係者の観点では、作品中の家族はフィクションだとしても格差社会における貧困家庭の増加がデータからも示され、来年の消費税率10%への引き上げは確実に日本経済を減速させ、それにより日本株の下落基調は避けられないと見ることができます。
そういえば、2018年3月期決算では、大手企業の大規模なリストラが話題になりました。
格差社会はこれからが本番を迎えるのかもしれません。



救いは、円高が進行すれば日本国債に買いが入り、長期金利の低下を招いて過度な円高を和らげる効果が期待されることでしょうか。



最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます