[東京 31日 ロイター] - 自民党の西田昌司・政調会長代理はロイターとのインタビューで、新型コロナウイルス収束後の経済回復を下支えするため、打撃を受けた企業の債務免除を議論していく必要性を指摘した。現代貨幣理論(MMT)を支持する西田氏は、消費税の減免も重要だとし、財政健全化にとわられる必要はないと述べた。
西田氏は、長引く緊急事態宣言で日本経済は「かなり疲弊している」とした上で、収束後に景気が急回復したとしても、コロナ禍中に失った収益を回復できない企業も出てくると語った。営業活動の制限を要請した国が補償すべきで、「つまり債務免除ということにもなる。どうしていくのか議論は必要だ」と述べた。
税理士でもある西田氏は、コロナ後を見据えたとき、内需を伸ばしていくためには消費税の引き下げに向けた取り組みが必要とも指摘。「ポストコロナの際は、消費税は議論すべき」と発言した。 西田氏は昨年4月に公表した緊急提言でも、「当分の間消費税をゼロ」にすべきと訴えている。
足元で補正予算を編成する声が党内にあることについては、「もちろん賛成」としつつ、政治日程等などを考慮し、秋以降の臨時国会で編成することになるとの見通しを示した。
西田氏が支持するMMTは、自国通貨建てで国債を発行できる国は財政赤字を増やしても問題ないと考える経済理論。西田氏は、2025年に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す政府の目標について、「医療や福祉のお金が削られ、国土強靭化や大きなインフラ整備もできなくなる」と指摘。財政健全化にとわられることは「全く意味がない」と語った。
一方で、際限のない財政拡大は通貨の信認低下を招いてインフレにつながるといった批判もある。自民党内にもコロナ対応の財政措置は必要としつつ、大量の国債発行などによるリスクを踏まえ、財政再建化目標は堅持すべきとの意見がある。
政府は6月に取りまとめる経済財政運営の指針(骨太方針)に、財政再建の考え方を改めて盛り込むことにしている。
*インタビューは5月27日に実施しました。
(梶本哲史、木原麗花 日本語記事執筆:金子かおり 編集:久保信博)
文末に記者名と編集者名を追加して再送します。