[ロンドン 6日 ロイター] - 英中央銀行(イングランド銀行)は6日、政策金利を過去最低水準の0.1%に据え置き、8950億ポンド(1兆2400億ドル)の資産買い入れ枠も維持した。政策維持は予想通り。
同時に、今年の英経済成長率はほぼ第2次世界大戦以来の大幅な伸びになるとし、週間の国債買い入れ規模の縮小を決定。ただし金融引き締めには当たらないとも強調した。
ベイリー総裁は、新型コロナウイルスワクチンの接種が進展する中、失業率が大幅に低下し、従来の見通しよりも力強い回復が見込まれると指摘。ただ、パンデミックがなかった場合の経済規模と比較するとなお大きな乖離があるとした。
ベイリー総裁は「今年末には新型コロナ前の2019年末の基本的な生産量水準に戻るだろう」と述べた。
英中銀は21年の英経済成長率見通しを2月時の5.0%から7.25%に引き上げた。これは英国が再軍備を進めていた1941年以降で最も大きな伸びとなる。20年は9.8%落ち込み、減少率は300年超ぶりの大きさだった。
21年の成長率見通し引き上げはワクチン接種に加え、1月に開始されたロックダウン(都市封鎖)措置第3弾の影響が想定よりも小さかったほか、スナク財務相が3月に発表した公共支出の拡大や減税の延長を反映した。
英経済がパンデミック前の規模に回復するのは21年第4・四半期と、従来予想から1四半期前倒しした。
一方で、22年の経済成長率見通しは従来の7.25%から5.75%に引き下げた。
また、週間の国債買い入れ規模を現行の44億ポンドから34億ポンドに引き下げた。ただ「買い入れプログラムの終了予定時期に変更はない。今回の決定は金融政策スタンスを変更するものではない」とした。
EYアイテムのエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は「英中銀は短期的には英経済に対して明らかに前向きだが、長期的な見通しについては大きな不確実性を抱えており、金融政策の引き締めを急いでいないようだ」と述べた。
今回の会合では、チーフエコノミストのアンディ・ホールデン氏が債券買い入れ枠の500億ポンド縮小に唯一賛成票を投じた。ホールデン氏は6月の政策決定会合後に退任する予定。
ポンドは1400GMT(日本時間午後11時)時点で対ドル、対ユーロでほぼ変わらず。
英中銀は失業率がわずかに上昇し、雇用支援プログラムが期限を迎える21年第3・四半期には5.4%とピークに達すると見込んだ。
インフレ率については、主にエネルギー価格に関連する一時的な要因により年後半には目標の2%を超える可能性が高いと予想。ただ、パンデミックや英国の欧州連合(EU)離脱に伴う長期的な供給上の制約が発生しないか注視しているとした。
また、政策金利が2年後に0.3%、24年第2・四半期時点で0.6%という金融市場の見通しに基づき、2─3年後のインフレ率が目標の2%をわずかに下回る水準になるとした。
ベイリー総裁は、英中銀は金利の方向性に関するシグナルを発していないと述べた。