[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が発表したデータに基づきロイターが算出した1月の主要70都市の新築住宅価格は、前月比0.2%上昇と、2018年2月以来の低い伸びとなった。
景気鈍化や新型肺炎の感染拡大を背景に不動産市場が停滞していることが浮き彫りとなった。昨年12月は0.3%上昇だった。
アナリストは、不動産市場が今後一段と悪化すると予想している。政府は新型肺炎の感染対策を強化。不動産開発業者は積極的な値下げに踏み切っている。企業活動の混乱が統計に完全に反映されるのは数カ月先になるという。
1月の新築住宅価格は前年比では6.3%上昇と、18カ月ぶりの低水準。昨年12月は6.6%上昇だった。
中国では新型肺炎の感染拡大を背景に、住宅のモデルルームの営業停止が続いている。潜在的な購入者も外出を控えており、住宅販売は急減している。
不動産コンサルティング会社センタラインのアナリストは、顧客向けのリポートで「全体として、今回の統計には新型肺炎の影響はまだ反映されていない。2月は国内で値下げの動きが広がるだろう」との見方を示した。
不動産開発で国内3位の恒大集団 (HK:3333)は16日、今月18─29日にすべての販売物件を25%値下げすると表明した。
市場では、経済への悪影響を和らげるため、不動産規制や融資基準を緩和する地方政府や銀行が増えるのではないかとの観測が強まっている。
二級都市の無錫市は先週、不動産開発業者の事前販売に対する規制を緩和した。ただ、エコノミストによると、家計の債務水準が高いため、広範な規制緩和が導入される可能性は低い。
<中小都市で価格下落>
今年の中国の不動産価格は、新型肺炎の感染が拡大する前から、景気減速を背景に低迷すると予想されていた。昨年12月の不動産投資は2年ぶりの低水準だった。
前月比ベースで価格が値上がりした都市は70都市中47都市と、12月の50都市から減少した。
住宅価格の動向は地域によってまちまち。急速な冷え込みの兆しが出ている都市もあるが、過熱リスクが指摘されている都市もある。
新型肺炎の発生源となった湖北省武漢市の1月の住宅価格は前月比0.4%上昇と、昨年12月の0.9%上昇から伸びが鈍化した。
国家統計局によると、上昇率が鈍化しているのは、大半が中小都市。大都市は価格の上昇が続いている。
不動産調査会社CRICによると、国内不動産開発上位100社の1月の販売額は前年比で12%減少した。
ノムラのアナリストは統計発表前のリポートで「不動産開発業者は販売店の業務停止を余儀なくされており、資金繰りが厳しくなる可能性がある。債務の返済圧力が増し、不動産セクターが冷え込んでいる。特に新型肺炎の感染が拡大している地域で大規模な事業を展開している業者はそうだろう」と指摘した。