■ハウスコム (T:3275)の強みインターネットとスマートフォンの普及は顧客の行動に大きな変化をもたらしている。
そして、この変化に対応できる業者と対応できない業者の格差を生む原因にもなっている。
1. 「不動産テック」への取り組み同社では2015年から顧客接点のレベルアップを目的に“不動産テック”の導入を行ってきた。
他社に先駆けて新技術を取り入れていることは業界内でもよく知られている。
代表的な取り組みである「マイボックス」では、チャット形式でスピーディに店舗スタッフとやりとりができる。
夜間や休日は「人工知能@コムるくん」が、24時間365日、物件に関する質問にスピーディに答える機能や予約機能が便利。
遠方からの引っ越しの顧客には、「オンライン内見システム」や「IT重説」が好評である。
ちなみに「マイボックス」を持つ登録者は累積で250万人に達し、顧客の好みや物件検討履歴が蓄積されており、同社にとって貴重な情報資産となっている。
2. 「豊かな地域情報」の収集と発信同社は、地域に根差した“豊かな情報”を充実させる取り組みを強化してきた。
この背景は、顧客にとって部屋探しは、単なる“住居の移動”ではなく、“新生活の充実”であるという考えからである。
“豊かな情報”の一例としては、Webマガジン「Living Entertainment」の発信。
専属のライターが街を歩き、現地の歴史や魅力のある人、場所についてレポートする。
また、全国のハウスコム直営店の店長が、店舗で日々働くなかで得た街情報を発信する「ご当地コラム」も人気が高い。
このように自社のオウンドメディアを通じて地域情報を発信するだけでなく、店舗のスタッフが地域情報に精通して提案力を高めていくことにも取り組んでいる。
物件そのものについての情報だけでなく、そこに暮らしたらどのような生活を営むことができるのか、顧客一人ひとりに対してその提案をどこまでできるかが顧客満足につながり他社との差別化になると考えているからだ。
その取り組みの1つとして、同社の接客力等を競う社内コンテストがある。
特に、同コンテストでは接客技能部門だけでなく「街のマイスター」部門を設けており、その街で生活しようとする人に向けた提案力が競われていることが象徴的だと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)