■今後の見通し
1. 2023年7月期の業績見通し
はてな (TYO:3930)の2023年7月期の業績は、売上高で前期比4.0%増の3,184百万円、営業利益で同54.8%減の147百万円、経常利益で同57.1%減の147百万円、当期純利益で同60.7%減の94百万円と増収減益の見通し。
売上高はコンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービスの減収をテクノロジーソリューションサービスの成長でカバーし、増収を維持するものの、2024年7月期以降の事業拡大に向けた投資(人件費やDC利用料、外注費・業務委託費の増加)が減益要因となる。
(1) サービス別売上見通し
a) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比10.5%減の436百万円の見通し。
コロナ禍の影響が継続し、期中のアドネットワーク広告単価の急回復は想定していない。
「はてなブログ」などへの投稿件数は着実に増加すると見ているものの、広告売上、課金売上ともに慎重な計画としている。
b) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比3.5%減の768百万円と減収に転じる見通し。
前提となる「はてなブログMedia」の運用件数は前期末比16件増の144件、運用件数当たりの平均月間売上は期中平均で2022年7月期上期(580千円)並みの水準を目標としている。
これらの目標を達成すれば売上高で同18%増※、金額ベースで170百万円の増収となるが、売上単価の大きい特定メディアの運用終了が決まっていることや、景気の先行き不透明感が強まっていることから保守的な売上計画としている。
なお、特定メディアの運用終了の理由は顧客企業の予算縮小に伴うもので、同社のサービスに問題があったわけではない。
売上影響額としては年間数千万円程度であり、運用件数や平均売上単価が目標達成すれば、増収を維持することも十分可能と見られる。
※期中平均運用件数の増加率(13.8%増)×期中平均売上単価上昇率(3.7%増)
c) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比11.2%増の1,980百万円と2ケタ増収が続く見通し。
「Mackerel」の売上高は同3.5%増の795百万円と着実な増加を計画し、受託サービスは同17.1%増の1,185百万円と高成長が続く見通しだ。
「Mackerel」については、大型顧客の獲得とパートナーセールス販売に販売戦略をシフトしていることもあり、顧客獲得数は前期並みの水準を見込んでいる。
一方、「GigaViewer」については、前期並みの5件程度の導入を計画している。
直近では、2022年8月に講談社のWebマンガサイト「モーニング・ツー」に導入されており、ビューワの提供に加え、サイトデザインやサービス企画、広告の販売・運用を通じたマネタイズ支援も同時に行う。
(2) 事業費用計画
事業費用は前期比10.9%増の3,037百万円を計画している。
内訳を見ると、人件費で同6.7%増の1,619百万円、DC利用料は同18.4%増の590百万円、その他費用で同14.5%増の828百万円を見込んでいる。
a) 人件費
同社は、中期的な成長を担保するため、最大の強みである開発力を拡充し、販売体制を強化することが重要な課題であると認識している。
引き続きエンジニアの採用を積極的に推進することで、2023年7月期は20名の増員を計画している。
社員採用・外注活用の積極化が人件費の増加要因となる一方、利益減に伴う賞与減額を計画に織り込んでいる(減少要因)。
ここ数年はエンジニアの採用環境が厳しいこともあり、計画未達が続いていることから、採用・育成力強化に向けた施策として、2022年5月に組織変更を行った。
2014年より同社のサービス・システム開発本部長を務めてきた取締役の大西氏が組織・基盤開発に専念している。
エンジニア出身であることを生かし、開発陣を含めた全職員の採用・配置・育成で手腕を振るう。
また、働き方についても先進的な環境を整え、採用力強化につなげる考えだ。
具体的には、フレキシブルワークスタイル制度の恒久措置としてフルリモート勤務を可能とする環境整備のほか、オフィス移転・改装によりハイブリッドワークが可能となった。
b) DC利用料
DC利用料増加の主因は、円安の進展によるクラウドサービス利用料の増加(米ドル建て支払い)となる。
同社では為替予約など為替変動リスクの軽減に取り組んでいるものの、急速な為替変動に対処することは難しく、コスト増の要因となっている。
なお、140円/米ドル水準までは料金プランへの転嫁はせず、内部努力で吸収する方針のようだ。
c) その他費用
その他費用の増加はサービス制作に関する外注費や業務委託費の増加が主因となるほか、広報費用や広告宣伝費なども積み増す計画だ。
このうち、サービス制作については、主に「GigaViewer」の開発や広告運用等のレベニューシェアに係る外注費、業務委託費の増加となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2023年7月期の業績見通し
はてな (TYO:3930)の2023年7月期の業績は、売上高で前期比4.0%増の3,184百万円、営業利益で同54.8%減の147百万円、経常利益で同57.1%減の147百万円、当期純利益で同60.7%減の94百万円と増収減益の見通し。
売上高はコンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービスの減収をテクノロジーソリューションサービスの成長でカバーし、増収を維持するものの、2024年7月期以降の事業拡大に向けた投資(人件費やDC利用料、外注費・業務委託費の増加)が減益要因となる。
(1) サービス別売上見通し
a) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比10.5%減の436百万円の見通し。
コロナ禍の影響が継続し、期中のアドネットワーク広告単価の急回復は想定していない。
「はてなブログ」などへの投稿件数は着実に増加すると見ているものの、広告売上、課金売上ともに慎重な計画としている。
b) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比3.5%減の768百万円と減収に転じる見通し。
前提となる「はてなブログMedia」の運用件数は前期末比16件増の144件、運用件数当たりの平均月間売上は期中平均で2022年7月期上期(580千円)並みの水準を目標としている。
これらの目標を達成すれば売上高で同18%増※、金額ベースで170百万円の増収となるが、売上単価の大きい特定メディアの運用終了が決まっていることや、景気の先行き不透明感が強まっていることから保守的な売上計画としている。
なお、特定メディアの運用終了の理由は顧客企業の予算縮小に伴うもので、同社のサービスに問題があったわけではない。
売上影響額としては年間数千万円程度であり、運用件数や平均売上単価が目標達成すれば、増収を維持することも十分可能と見られる。
※期中平均運用件数の増加率(13.8%増)×期中平均売上単価上昇率(3.7%増)
c) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比11.2%増の1,980百万円と2ケタ増収が続く見通し。
「Mackerel」の売上高は同3.5%増の795百万円と着実な増加を計画し、受託サービスは同17.1%増の1,185百万円と高成長が続く見通しだ。
「Mackerel」については、大型顧客の獲得とパートナーセールス販売に販売戦略をシフトしていることもあり、顧客獲得数は前期並みの水準を見込んでいる。
一方、「GigaViewer」については、前期並みの5件程度の導入を計画している。
直近では、2022年8月に講談社のWebマンガサイト「モーニング・ツー」に導入されており、ビューワの提供に加え、サイトデザインやサービス企画、広告の販売・運用を通じたマネタイズ支援も同時に行う。
(2) 事業費用計画
事業費用は前期比10.9%増の3,037百万円を計画している。
内訳を見ると、人件費で同6.7%増の1,619百万円、DC利用料は同18.4%増の590百万円、その他費用で同14.5%増の828百万円を見込んでいる。
a) 人件費
同社は、中期的な成長を担保するため、最大の強みである開発力を拡充し、販売体制を強化することが重要な課題であると認識している。
引き続きエンジニアの採用を積極的に推進することで、2023年7月期は20名の増員を計画している。
社員採用・外注活用の積極化が人件費の増加要因となる一方、利益減に伴う賞与減額を計画に織り込んでいる(減少要因)。
ここ数年はエンジニアの採用環境が厳しいこともあり、計画未達が続いていることから、採用・育成力強化に向けた施策として、2022年5月に組織変更を行った。
2014年より同社のサービス・システム開発本部長を務めてきた取締役の大西氏が組織・基盤開発に専念している。
エンジニア出身であることを生かし、開発陣を含めた全職員の採用・配置・育成で手腕を振るう。
また、働き方についても先進的な環境を整え、採用力強化につなげる考えだ。
具体的には、フレキシブルワークスタイル制度の恒久措置としてフルリモート勤務を可能とする環境整備のほか、オフィス移転・改装によりハイブリッドワークが可能となった。
b) DC利用料
DC利用料増加の主因は、円安の進展によるクラウドサービス利用料の増加(米ドル建て支払い)となる。
同社では為替予約など為替変動リスクの軽減に取り組んでいるものの、急速な為替変動に対処することは難しく、コスト増の要因となっている。
なお、140円/米ドル水準までは料金プランへの転嫁はせず、内部努力で吸収する方針のようだ。
c) その他費用
その他費用の増加はサービス制作に関する外注費や業務委託費の増加が主因となるほか、広報費用や広告宣伝費なども積み増す計画だ。
このうち、サービス制作については、主に「GigaViewer」の開発や広告運用等のレベニューシェアに係る外注費、業務委託費の増加となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)