先週の木曜日の夕方突然為替が激しく動き、ドル円は107円台半ばから105円台半ばへと一気に2円も暴落(円高ドル安)した。
原因は英BBCのインタビューで黒田日銀総裁が、最近話題となっていたいわゆる「ヘリマネ」に否定的な発言をしたと伝わったことによる。
しかし、後にこのインタビューは6月の中旬に収録されたものであることが判明した。
急激な円高に驚いた日銀広報部は慌てて「中身はいつもと同じ」ものであることを表明した。
それにしても1ヶ月以上前のインタビューの内容で、ここまで暴落するのはちょっとどうかと思われる。
しかも6月中旬といえばブレグジット(英国のEU離脱)の前である。
今回の英BBCのインタビュー内容が伝わる時期は意図的なものではないようだが(予定通りの放送?)、最近日銀の金融政策決定会合直前には毎回大きな波乱が起きている。
「日銀関係者」による金融政策会合の追加緩和否定というリークまがいの報道や、金融政策会合の結果が発表の数分前にリークされるなどにより市場に大きな波乱が起こったのは記憶に新しい。
世界の中央銀行の「政策決定会合前」の状況で、リーク的な報道によりこれほどまでに酷い波乱が起きているのは日本だけのように見受けられる。
このような状況の放置は、毎回金融政策決定会合前に市場が混乱することになり、ひいては日銀の信任や市場との対話を阻害することになる。
また、作為的な報道を許すことにつながり、特定の主体が市場を操作して利益を得ることにもなりかねない。
このような状況を避けるため、日銀の金融政策決定会合の1~2週間前は、日銀側は金融政策会合に関する情報発信はしない、報道側も日銀関係者が会合の内容を示唆するような報道はしないという(単なる観測報道などは別)報道協定を結んではどうだろうか。
さらに踏み込んで国としての法規制があってもいいように思われる。
利益衡量すれば、日銀の信任や金融市場の安定という保護法益は、リークまがいの報道の利益にまさるのは明らかである。