■要約城南進学研究社 (T:4720)は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。
大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して、小学生や乳幼児へと教育サービスを拡大してきた。
一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援することを目指している。
1. 2019年3月期は年間を通じて収益構造改革に取り組む計画。
期初予想に変化なし同社の2019年3月期第2四半期決算は、売上高3,493百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益3百万円(同98.7%減)と減収減益で着地した。
同社は今期を収益構造改革の年と位置付け、先行投資によって収益が一時的に悪化する予算で臨んだ。
今第2四半期は、売上高は予備校部門の低調で計画を下回ったものの、営業利益については人件費の抑制や個別指導部門のリニューアルの下期へのずれ込みによって、想定を上回って黒字で着地した。
2019年3月期通期については、収益構造改革を計画どおり遂行する計画で、それに伴って費用も予定どおり発生する見通しであるため、期初予想に変化はない。
2. M&Aや事業提携を活用し、英語教育の強化や事業ポートフォリオ改善が順調に進捗同社は中期経営計画のもと、大学入試制度改革への対応や事業ポートフォリオの改革に取り組んでいる。
今第2四半期においては、4技能を伸ばす英語教育の推進に関してiaeグローバルジャパン(株)との提携や社会人英語教育に強みを持つ(株)アイベックの子会社化を実施した。
事業ポートフォリオの改善では予備校の閉校方針を確定する一方、新業態の「城南予備校DUO」や映像授業の「河合塾マナビス」の新規開校を進めた。
また、M&Aによって埼玉県下で小規模保育施設を9園運営する(株)フェアリィーを子会社化し、同社が注力する乳幼児教育(保育)事業の強化を図った。
不動産物件の需給がタイトなために新規開校が計画より若干遅れている状況にはあるが、やるべきことが明確ななかで、着実に前に進んでいるというのが同社の今の状況と言える。
3. 入口(幼児教育)と英語教育の強化によって、長期的囲い込み戦略が一段と具体化同社はかねてより「総合教育ソリューション企業」として乳幼児から社会人まで幅広い年齢層をターゲットに教育サービスを提供する体制を整え、長期的囲い込み戦略によって持続的成長を目指してきた。
それに向けた布石を着々と打ってきたもののこれまでは散発的な印象を拭えなかった。
しかし今第2四半期の各種進捗の結果、入口に当たる乳幼児教育分野の充実と、長期的囲い込みのためのメインツールとして英語教育を活用することが明確になった。
これによって同社の中長期の成長戦略が従来よりも一段と明確になったと弊社では考えている。
今後はさらに工夫を重ねて各種教育サービスと各世代を有機的につなぐ仕組みを開発し、「J-Family」のメンバーであり続けることについてどう説得力を持たせていくかが課題となるだろう。
■Key Points・大学入試制度改革への対応や収益構造の改革といった中期経営計画目標が順調に進捗中・英語や幼児教育の分野で、M&Aや事業提携を着実に実現・「J-Family」構想実現に向け、各世代・各サービスを縦横に有機的につなぐ仕組みの強化が課題(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)