足元の日経平均は、上値抵抗ラインだった17000円を上抜いていますが、売買代金はほとんど増加していません。
レンジ上限を上抜けましたが、この流れに乗りにくく、積極的な買いは手控えられています。
そして、先週末に伝わったクリントン氏の私用メール問題でFBIが再捜査を実施するとのニュースが伝わったことから、「トランプ・リスク」が意識されて日経平均は上げ一服となっています。
このような相場展開のなか、オプション投資を実施するのであれば、市場が上下どちらかに大きく動くことを想定した戦略、すなわち【ロングストラドル】、【ロングストラングル】はいかがでしょうか。
週明けの東京市場は落ち着いた動きを見せていますので、先行きの不透明感を表す日経ボラティリティ・インデックス(VI)は20pレベルと落ち着いた推移が見られます。
ただ、11月8日の米大統領選挙の投開票に向けて、不透明感が高まりボラティリティが上昇する可能性はあります。
【ロングストラドル】【ロングストラングル】は、上下どちらに動くかはわからないが、上下に大きく動くことを前提としたポジションです。
つまりボラティリティの高い相場展開を想定したパターンです。
具体的に言いますと、プットとコールをともに買います。
最大の利益は大きく上がった場合もしくは下がった場合です。
一方、損失は最初に支払ったプレミアム分だけとなります。
【ロングストラドル】と【ロングストラングル】の違いですが、より動くと想定した場合にとるポジションが【ロングストラドル】です。
より動くと想定することは、その分大目にリスクを取りますので、最初に支払うプレミアムは【ロングストラドル】の方が少なくなります。
【ロングストラドル】
(組合せ):同一限月のオプションで、権利行使価格が同じコールとプットの買い
(具体例)
10/31時点の日経平均17425.02円(ATMは17375円)
17375円のコールを225円で1単位買い
17375円のプットを195円で1単位買い
【買いの金額】
225円(プレミアム)×1,000倍(日経225オプションの取引単位)×1枚=225,000円
195円(プレミアム)×1,000倍(日経225オプションの取引単位)×1枚=195,000円
□最大損失は420,000円
□最大利益は無限大
【シナリオ分析】
11月8日に開催される米大統領選挙に向けて、相場の不透明感は高まる可能性があります。
一部米メディアによる現時点での支持率は、クリントン氏とトランプ氏の差は1ポイントほどに縮まっているとのことです。
先行き不透明感が高まることで、市場は神経質な展開となり上下に大きく振れるかもしれません。
なお、11月限オプションSQは11月11日ですから、時間的価値が大きく低下します。
プレミアムが思ったよりも上がらない可能性があることは頭に入れておいたほうがいいでしょう。
また、このポジションを外すかどうかのポイントは日経VIだと考えています。
上昇しないということは、米大統領選挙に対する不透明感はさほど高まっていないと見ることができます。
先行き不透明感を示す25p(地合いによって不透明感を示す水準は変わりますが、オーソドックスなラインは25p)を週内に超えるかどうかが見極めポイントとなるでしょう。
追加ですが、相場が動かないと想定する方は、ロングの逆である【ショートストラドル】もしくは【ショートストラングル】を組むとオプション料だけ手にすることができます。
ただ、11月8日の米大統領選挙に対する不透明感が強まっていることを考慮すると、いくら逆指値等のヘッジを入れたとしても、重要イベントを前に「損失無限大」のポジションを組むのはリスクが高いと言えます。
(先物・オプションアナリスト 田代昌之)